秘密
ALPHADRIVEONEのスケジュール表を握りしめながら、私は今日も彼の背中を見ていた。
キム・ジュンソ。
ステージでは誰よりも輝く存在で、私はそのすぐ後ろを歩くただの“スタッフ”にすぎない。
「次、5分後に移動です」
業務連絡の声は冷静を装っているけど、胸の奥はいつも落ち着かない。
エレベーターが閉まる直前、彼の手が私の手首を掴みかけて、すぐ離れた。
その一瞬が、逆に心臓に悪い。
深夜の控室。
他のスタッフが帰ったあと、ジュンソは扉を確認してから、低い声で言った。
js「今日、誰と一緒だった?」
「……え?」
js「移動のとき。知らないスタッフと話してた」
ただの確認のはずなのに、視線が鋭い。
「仕事ですよ」
そう答えると、彼は小さく舌打ちした。
js「分かってる。でも、嫌だ」
年上のくせに、子どもみたいな独占欲。
でもそれを、決して口に出しすぎないところが余計に苦しい。
js「僕の前では、そんな顔しなくていい」
「どんな顔ですか」
js「他のやつに向けるやつ」
一歩、距離を詰められる。
触れないギリギリ。
js「あなたさんが僕たちのマネージャーじゃなかったら、もう連れて帰ってる」
冗談みたいな口調なのに、目は本気だった。
js「……今は無理だろ」
自分に言い聞かせるようにそう言って、彼は深く息を吐く。
js「だから、約束して」
付き合うとも、好きとも言わない。
でも、離す気は最初からない。
js「僕が全部終わらせるまで、誰のものにもならないで」
命令みたいなその言葉に、喉が鳴る。
「……それ、独占欲強すぎません?」
そう言うと、彼は初めてはっきり笑った。
js「今さらだろ」
数年後。
彼らのALPHADRIVEONEとしての活動が終わった日
人目のない駐車場で、彼は逃がさないように私の手を握った。
js「もう我慢しなくていいよな」
「……はい」
js「他の誰のところにも行かせない」
そう言って、初めて唇が触れる。
js「あなたさん、僕の恋人になって」
返事は、もう決まっていた。
「はい恋人にしてください」
もう想いは秘密にしなくていい。
選び合った結果の、ハッピーエンドだった。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。