5月1日。晴れ。
夏樹の誕生日だ。
夏樹ははしゃぎながら、水族館に向かって歩く。
僕は夏樹の手を引っ張る。
すると、夏樹は満面の笑みを浮かべた。
僕も、少し笑った。
すると突然、夏樹が売店に走りだした。
そして、ジンベエザメのぬいぐるみを見て目を輝かせる。
そんな夏樹がとても可愛いと思ったのは、僕以外誰も知らない。
すると、夏樹の顔がぶわっと赤くなる。
僕はニヤリと笑う。
夏樹は満面の笑みを浮かべた。
僕は口元を緩ませる。
夏樹は目を見開いて僕を見つめる。
夏樹はしょぼんと落ち込む。
そんな夏樹の頭に、僕はポンと手を置く。
僕が微笑むと夏樹はまた、顔を赤くした。
デ、デレ‥‥?
夏樹は微笑む。
夏樹って、泣いたり笑ったり、落ち込んだと思ったら顔を赤くしたり、表情がよく変わる。
独りぼっちの頃にはあり得なかったことが、今は当たり前になってきている。
それは、太陽のように凄く輝いて見えた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!