第62話

出会い

960

2023/04/27 13:22

柚香

……じゃあわたしは、記憶が無いまま、
“百瀬乃亜”に生まれ変わった……？
そして、なおきりさんと会って………

遥希

そうだよ、のあさんと俺の出会い、
覚えてる？前世の。

柚香

…覚えてますよ……

遥希

…その時のこと、思い出してみて？

柚香

…その時……

はっきり覚えてる。

印象的な思い出だったから。

遥希

出会ったのは…

柚香

わたしが死ぬ、四年前…

記憶を糸を手繰り寄せる。

＊回想＊

鷺河（さきがわ）大学に入学したての一年生。


友達作り。サークル活動。


わたしは、そのなにもかもがうまくいっていなかった。

のあ

T R P Gもいいかも、しれない…（テーブルトークプレイングゲーム）
国連模擬も楽しそうだけど…
わたしにはなんか難しそうだし…

のあ

はぁ…じゃぱぱさん助けて…

ぼそっと、そう呟く。


そう。ただの独り言。


誰にも聞かれず、空へ消えてゆくはずの独り言。


誰が、この独り言がきっかけで、こんなふうになったと予想ができたのだろうか。


細身の黒髪の男の人に、話しかけられるなんて。

なおきり

あの

のあ

ひゃいっ！？

急に話しかけてきた、男の人。


身長がわたしよりも何十センチも高いので、
びびって変な声が出た。恥ずかしい。

なおきり

あ…すみません、急に……
僕は、蒼井尚希（あおいなおき）と申します。

のあ

ふぁったっ、いやっっ
べつひ（     べつに）…っらいほーぶべ…っ

盛大に噛んだ。恥ずかしい。

のあ

あ、わたひは、百瀬乃亜って
いいます、一年生です、

なおきり

あの…単刀直入に言います。
僕達のサークルに、入りませんか？

のあ

…へっ？

間抜けな声が出た。

舌がまわらず、滑舌が死んでいる。

まあ、そんなことはどうでも良い。

突然のことに頭が追いつかない。

なおきり

あ、あの…簡単に言う、
パソ部、的な、Minecraftとか
するんですけど、

のあ

Minecraft、ですか？

なおきり

はい、まあ、非公認サークル
なんですけど

のあ

…どうして、わたしに？

初対面で、急に「サークルに参加してください」
と言われた理由はなんなのか。


こんなに人がわんさか居る中で。

なおきり

…さっき、「じゃぱぱさん」
って、言いましたよね。

のあ

ふぁっつっ…た…っ

独り言を聞かれていた。恥ずかしい。

のあ

じゃぱはっ、知っ、ですか？（じゃぱぱさんのこと知ってるんですか？）

なおきり

あ、そうなんですよ！
リスナーで、僕。…声からすると、
のあさん、ですよね？

あ、間違ってたらすみません、と、なおきりさんは
付け足した。

のあ

ひゃ、ひ、ぇ、わ、かった、
なんで、ですか？

なおきり

あ、いえ、さっきの呟きで、
「あぁ、のあさんだな」って

のあ

え、あ、はい、そ、そうなんですね、
すごいで、すね…

なおきり

ひきましたよね？

のあ

ひ、ひいてないでふ

ひいた。

なおきり

そして、えっと、あの、
本題に戻るんですが

のあ

はい

なおきり

僕らのサークルに、
入ってください。

答えは一つ。

この人となら、やっていけそうな自信がある。

……この自信は、どこからきているのか、
分からないけれど。

のあ

はい

投稿頻度落ちます！！！

すみません！！！

時間が無いです！！！

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第63話カラフルピーチ

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好きになるのはキミ限定【完結】

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編集部コメント

主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした！<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。