朝の七時頃
急に、電話がかかってきた
それを躊躇なくとった
電話先は、両親の入院してる病院だった
「桃瀬藍君だよね?」って、聞き馴染みしかない
父親の担当医の声がして、それに応えた
けれども、担当医からの言葉を聞いて
思わずこんな間抜けな声が出てしまった
そういうことを言っても、受話器の向こう側から
肯定の返事は返ってこなかった
沈黙の時間が、しばらく流れたと思ったら
担当医は、静かに言い放った
思わず、その言葉に強く殴られたような気がして
そのまま思わず座り込んでしまった
医者は、そんな自分にこれ以上何も言わなかった
この世界は、理不尽なんて当然で
どんなに苦労をしたとしても、
これから、どうすればいいのか
これから、どうしていくのか
何も、知らない子供も、独りぼっち強いられて
思わず迷った俺は、悲しみのあまり、
憂鬱になりそうになってさ
何も、考えたくなかった
急に、電話がかかってきた
それを躊躇なくとった
電話先は、両親の入院してる病院だった
「桃瀬藍君だよね?」って、聞き馴染みしかない
父親の担当医の声がして、それに応えた
けれども、担当医はこう言った
俺は、独りぼっちになりたくなくて
だから、ずっと頑張ってきたのに
だから、ずっと頑張れたのに
全部、泡になったみたいだった
それから、しばらく経った頃だった
メッセージグループに、
いるまからの連絡が入ったのは
けれども、今はそれを見る気力すらなくて
電源をつけることすらせずに、
そのままスマホを放り投げた
〈 最強No.1(6)
思わずその瞬間、過去に類を見ないぐらい
早く打ち込んで送信したメッセージ
けれども、そこに既読がつくことはなかった
しかも、五人とも
昼前の、十時頃の出来事だった
未だに、そのメッセージに既読がつくことはなく、
メッセージを送信したであろういるまちゃんも、
いつもは誰よりも早く反応するらんらんも、
その次ぐらいに早く既読がつくみこちゃんも、
未読のメッセージを残すのが嫌いなひまちゃんも、
メッセージはマメに確認するこさめちゃんも、
あれから数時間経った夕方四時になっても
誰一人既読がつくことはなかった
なんとなく、苦しさを感じで
何も考えずにスマホと鍵だけを持って、
家を飛び出した
あの日のように、細い裏道に向かって
沢山生えている背高草を分けて進んで
やっとの思いで辿り着いた秘密基地
そうつぶやきながら、滲む太陽を睨んで
同時に、頬に水滴が伝った
ふと、記憶が重なった
今の俺の状況と、
らんらん達と高校で会って
始めて秘密基地に行った時のことが
そう言って、誘ってくれた君は、珍しく既読をつけない
既読をつけない、ということは、
きっと何かがらんらんのところであったんだと思う
……んーん…らんらんだけじゃない
こさめちゃんは、警察に連れて行かれた
みことちゃんは、親に家に帰らされた
いるまちゃんは、あの連絡の後、ごめんと送ってから
一切連絡が送られてこなくて、既読もつかない
ひまちゃんは、虐待されている家にいるから、
何をされてるかなんて、考えたくなかった
俺を、助けてくれたみんな
俺を、救ってくれたみんな
そんなみんなは、今苦しんでる
俺だけだ、こんなに幸せなのは
また一筋、しょっぱい涙が頬を伝った
家に強制的に連れて帰らされて
今は、数分前までほぼ一ヶ月誰も居なかった家に
三人もの人間が集まって座っていた
お母さんは、そう俺に向かって言った
「あんなヤツ」というのにもムカついたけれど
それ以上に、「誘拐」というワードが引っかかった
あれは、違う、誘拐なんかじゃない
あれは、家に帰りたくないと言った俺といるまくんを
傷つかないように、家に居させてもらってただけ
けれどもお母さんは、
キッパリとそう言い切った
それに続くように、お父さんが口を開く
ハッキリと、そう言い切られる
思わず、そこで言葉を止めた
そして次の瞬間、信じられないような言葉が
お父さんの口から発せられた
洗脳?そんな訳ない
俺といるまくんは、小学生の頃に、
らんらんと、すちくんと、なっちゃんと、こさめちゃんと、
六人でいつも秘密基地で遊んでいた
けれども、両親はそれを覚えていないらしい
こさめちゃんのことすら、知らない
でもそれはきっと、二人が俺の話をまともに聞かずに、
自分達の好き勝手してるからというのを、
俺は気がついてしまっている
でも、そんな俺の心情なんて知らずに
お母さんは、口をゆっくりと開いた
そして、次の瞬間放たれた言葉に、
思わず、自分の耳を疑った
脳が、仕事をしようとはしてくれなかった
脳が、理解をすることを拒んだ
理解をしてしまえば、それが行われそうで
それが、死ぬほど嫌だった
それなのにも関わらず、
それに関するものを、お父さんが言っていく
何も、知りたくなかった
何も、知らないでおきたかった
今ぐらい、現実から目を背けたかった
お母さんが呼ぶのもお構いなしに
俺は、自分の部屋に駆け込んだ
部屋に入った瞬間、身体から力が抜ける
その瞬間に、薬を飲んでないのに気がついた
親は、「いつもの」を知らない
俺に興味を持ったのは、最近だから
でも、そんな興味いらない
俺が今欲しいのは、
この街で、いるまくんと、みんなと
秘密基地で、過ごす時間だけなんに
……あぁ、でも、
もうそういうのも全部、
「いつもの」のせいでできた、虚実?
っていうことは、
今までの、みんなとの日々も
騒がしさがノックして
生まれた感情さえも
頭に浮かんでは萎んだ
ポツリと呟いた、俺の問いに対して
答えは、誰も教えてくれなかった
第七章 また、何度でも
深夜投稿ごめんなさい……
20時にも投稿しました












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!