あのあと、耐えられなくなって、
『体調不良』と嘘を吐いてほしいとみことに言った
みことは、嫌な顔をせずに了承してくれて、
俺のとこへ荷物を持ってきてくれた
俺は、そのまま早退した
珍しく、そう呟いてみる
でも、やっぱり返事などは帰ってこない
なんて吐き捨てて、部屋に入って
そのままベッドに倒れ込んだ
気付けば、涙が頬を伝っていた
俺は、不登校だ
いつから不登校なのかと言えば、中学二年の頃から
それからずーっと、不登校のまま
最初の方はちゃんと行ってたし、行こうと思ってた
でも、中二の夏ぐらいから、ダメになった
それは、高校に上がってからも変わらず、
単位が取れる必要最低限にしか学校は行かず、
部活にも入ったけど参加もせず、
普段ずっと一人で閉じこもっている
……いや、正しく言えば
最近は部屋に閉じこもってる……だな、
でも、みんなに再開してしまった
たまたま学校へ来た日に、らんが教室を訪ねてきた
だから、登校を再開した、しかも毎日
なつに、こさめに……すちに、不登校がバレたくなかったから
みことには、勿論バレている
中学で俺が不登校になったのも、その理由も知っている
らんにも、きっとバレている
生徒会長様の情報網をなめない方がいいと、らんに言われてるし
でも、だからこそ残りの三人にはバレたくなかった
だから、頑張って登校を続けた____のに、
数日前のことだった
たまたま、スマホを触ってる時だった
急にすちからメッセージグループに
メッセージが送られてきた
そう呟いて、そっと机の上にあるハンガーラックを見る
そこには、五つの鍵が並んでいた
そのうち一つには、桃色のタグがついていて、
『418−LAN』と書いてある
外に出て渡そうか、と考えた
でも、そう考えたと同時に、ぞわっとした嫌悪感が襲った
〈 なつ
なつは、何かを察してくれたのか
そうグループと個人でメッセージを送ってくれた
思わず、なつを読んでしまった
ここで、みことを呼べばよかったのかもしれない
でも、みことがらんの家の合鍵を持っていると
すちに違和感を持たれると思った
中学の頃から関わりがあるとは言ってるけど、
まさか合鍵を持っているとなると
やりすぎになってしまうのではないか
だから、なつにした
すちと同じ部活で、高三で
一番気まずくならなそうだったから
なつが来た
俺は、鍵を五つ持って、ドアを開ける
目の前に、なつが立っていた
なつは、まるで俺の気持ちを見透かしたかのように
俺の頭を不器用に撫でて、そのまま俺の家を出た
今思えば、それが原因だった気もする
なつにあの日バレてしまったことが、
俺の中で我慢してたものが、溢れた瞬間だったのかもしれない
らんは、あの日すちに自分のことを話した
話を聞いてないのになんで知ってるか?
話す、と五人のメッセージグループに送ってきたから
でも、その日の夜遅くに、こう送ってきたんだ
全部、自分で溜め込んでるって、
なんとなくらんに対して感じた
あの日、詳しく話した内容はまだわからないけど
きっと、よくない方向に向いたんだろうなってのはわかる
だって、あの日以降
すちとらんと会話がおぼつかない感じがするから
問題が山積みだなんて、わかってる
なつの朝一人で待ってる様子が、明らかにおかしい
らんが過去に苦しめられてる中、多忙で休めてない
みことの立ち振る舞いが、完全に作りきれていない
こさめが集合に遅刻する時、異常に疲れきっている
すちだって____
わかってる
わかってるのに
怖くて、頑張りたくなくて
動けていない
完全なる俺の我儘だ
でも、俺は知ってしまってるから
頑張ったら、変に努力したら
全部悪い方向に流れていくって、知ってるから
それで、みんなに迷惑をかけるのが
酷く、怖いだけで……
今日、何回目かもしらないため息を吐く
もう、何もしたくない
何も、何も、考えたくない
なのに、思考は働く
嫌なほどに、考えを巡らせる
俺に、動けと命令するように
俺が悪いと、否定するように
わかってるのに動きたくない
そんな俺ほど最低な人物は、きっといない
こんな怠さを、
休まず廻るセカイに作らされた
完璧なイデアのせいだと、
そんなセカイにある
熱でとっくに枯れた癖に眩しい太陽のせいだと、
その枯れた太陽に照らされたせいで
引き起こされた炎天下のせいだと、
また言い訳をして、俺は眠りについてしまった
まだ、午後の二時を回ったすぐだというのに……
起きた頃が地獄のようになってるなんて
とっくにわかってるはずなのに












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。