朝。
同じ時間に目が覚める。
カーテンの隙間から差し込む光が、
部屋をゆっくり満たしていく。
🐯「……起きるぞ」
🐰「……はい」
眠そうな返事。
それだけで、少し笑ってしまう。
◆
キッチンに立つ背中が、二つ。
コーヒーを淹れる音。
トースターの軽い音。
会話は少ない。
でも、気まずさはない。
🐰「今日、先方との最終確認ですね」
🐯「ああ。午後一だ」
🐰「資料、昨日のままで大丈夫です」
🐯「問題ない」
仕事の話。
いつものやり取り。
それが、
恋人同士であることを忘れさせるほど自然だった。
◆
通勤途中。
並んで歩く。
距離は、ほんの少しだけ空ける。
でも、
歩幅は揃っている。
🐯「……緊張してるか」
🐰「少しだけ」
🐯「なら、十分だ」
🐰「え?」
🐯「慣れきるより、
少し張ってる方が、
いい判断をする」
それは、
上司の言葉でもあり、
相棒の言葉でもあった。
◆
午後の打ち合わせ。
役割分担は完璧だった。
前に立つのはグク。
全体を見て支えるのはテヒョン。
言葉を交わさなくても、
次の動きが分かる。
🐰(……いる)
🐯(……任せた)
それだけで、足りる。
◆
会議後。
クライアントが言った。
「お二人の連携、
本当に安心感がありますね」
テヒョンは、
軽く会釈するだけ。
グクも、
大きく反応しない。
それが、当たり前だから。
◆
帰り道。
夜の街は、静かだった。
🐰「……最近」
🐯「うん」
🐰「特別なこと、
あんまりないですね」
テヒョンは、一瞬考えてから答える。
🐯「それが、完成だ」
🐯「騒がなくていい」
🐯「証明もしなくていい」
🐯「続いていることが、
全部だ」
その言葉が、
胸の奥に静かに落ちる。
🐰「……はい」
◆
家に着く。
荷物を置き、
ネクタイを外す。
いつもの流れ。
でも、
その“いつも”が、
何よりも確かだった。
🐰「……明日も、頑張れそうです」
🐯「ああ」
🐯「明日は……
少し、甘くしてやる」
グクは、思わず笑った。
🐰「約束ですか?」
🐯「約束だ」
その一言で、
胸が少しだけ、あたたかくなる。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!