第8話

第二章 3
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2023/03/05 09:20 更新
マオ
最近、外に出るのも危険になってきたじゃん。…ほら、宗教運動のせいで。
宗教運動。今は暴動にまで発展し、社会問題にもなっている。
宗教運動の中心者やその周辺の人々などをひっくるめて俗に”過激派”と呼んだりもしている。
リョウ
…うん。
マオ
うちの両親がそれに感化されちゃってさ、
心底めんどくさいといった顔で笑う彼女。
でも、感化された、って…
リョウ
(…それじゃあ、マオが逃げてきたのは………)
マオ
そんな顔してるってことは、私が逃げてきた理由が分かったみたいだね。
図星を突かれて顔をあげると、言ってみて、と彼女に先を促された。
でも、僕は一瞬ためらった。自分の想像が当たっていてほしくなかったから。

…でも、確かめないと。何かしようにも行動できない。

僕は息を吸って、吐いて、また吸ってようやく口を開いた。
リョウ
…………宗教運動に感化されたってことは、親も過激になって、っ………
マオ
………うん、
静寂が辛い。でも聞きたくない。
でも聞かないと、何も始まらない気がする。
リョウ
親に………っ、殺されかけたの……?
マオ
……………………
僕がそう言った途端マオはすごく悲しそうになった。
刹那、このまま泣き出してしまうんじゃないかと言うぐらいの瞳が見えた気がした。
マオ
…正解。大当たりだよ、リョウ。
彼女がそう言った頃には、もういつもの気丈な雰囲気に戻っていた。
僕が口を開こうとしたときに彼女が大きく息をついて、僕から出かかった声を制した。
マオ
もっと詳しく話さないと何がなんだか分からないと思う。
でも今は、疲れたからちょっとだけ寝させて……
よっぽど疲れていたのだろう。僕の家に来たという安心感もあるのか彼女は僕の返事を待たずして眠ってしまった。

彼女をそっとベッドにのせ、僕はベッドに寄りかかって目を瞑る。
こんな闇夜にもうっすらと響く暴動の声に耳を塞ぐように、僕たちは深い眠りへ落ちていった。
月も星もなく、虫すら鳴かない夜だった。

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