第69話

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2021/11/05 14:30
次の日。
私は朝早くに学校に行き、ウォヌくんが
来るのを待っていた。
今日は部活が無いらしく
バスケ部も来るのはバラバラだそうで
玄関で待つことにした。
ウォヌくんは部活がない時は
早くに来て、寝てる。
家で寝るより学校で寝てた方が
慌てないから良いから早く来てるだとか。
そんなことを言っていたら

WN「…あなた?」
「ウォヌくん…!」
WN「おはよ。どうしたの?こんな朝早く」

度の強い眼鏡をかけたウォヌくん。
やはり、顔は眠そうだ。
けど、優しい笑顔は変わらない。

「…ウォヌくん、」
WN「ふふっ、どうしたの。」

ポンッと頭に手を置く。

「…ウォヌくん、私、最低だよ。」
WN「…何が?」
「…今から話すこと聞いたら
私のこと嫌いになってくれて構わないから。」
WN「…どうしたのさ」
「私、スニョアのこと好き」

ウォヌくんの顔は少しだけ強ばった。

「…謝って済むことじゃないと思ってる。
でも、言わなきゃ…って思って今言った。
本当にごめんね。ウォヌくん。」
WN「うん」
「ウォヌくんはすっごく優しくてたまに辛口だけど、誰よりも周りの事見ていて…私に無いもの沢山持ってた。」
WN「そんなことないよ。」
「でも、ちゃんと私が好きになったのはウォヌくんだよ。」

うん、と頷いてくれる。

「例え、スニョアに脅されても
私の初恋はウォヌくんだし。その事実は変わらないよ。」
WN「泣くなよ、俺の立場〜」

いつの間にか涙が出てきていたみたいで袖で拭き取る。

「ごめん、」
WN「…あなたの初恋。俺が貰っていいの?」
「…うんっ、大好きだった。」
WN「大好き…だった、か。うん。俺も。」

私の手をとるとギュッと握った。
冷たい手はずっと変わらない。

WN「でもね、あなた。」
「うん。」
WN「俺は人を好きになるのなんて遅いも早いもないと
思ってるからスニョアを好きになったのが
今のタイミングだっただけだし、仕方ないよ。」
「…ウォヌくん、」
WN「だから、自分を追い詰めない事。
そんなことで俺はあなたを嫌ったりしない。」

ツーンと鼻に来る。
涙が止まらなくなる前兆かもしれない。

WN「言ってくれてありがとう。」
「…ウォヌくん、ありがとう。」

最後にいい?と私の腕を掴むと
ウォヌくんの方へ引き寄せられた。
すっぽり収まってしまう体格の差。
ギュッと抱き締められていると実感した。
頭上で小さな音で鼻をすする音が聞こえた。
それと同時に私もウォヌくんの胸の中で泣いた。
私から離れたウォヌくんはくるりと私を反対に向けて
ポンッと背中を押した。

WN「後悔のないようにしなね。」
「…うんっ。」

その笑顔が、好きだった。
ウォヌくんが私の背中を押してくれた。

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