そして、母親が目の前に見えた時
俺は目をつぶった。
鋭い痛み、
………は、来なかった。
ゆっくりと目を開ければ、そこには見慣れた背中
俺の目の前にいたのは
深くお腹にナイフが刺さり、真っ赤に染ったふみ
けれど、ふみは苦しい顔をしてなかった。
達成感のある顔をしていた。
拓也さん率いる執事たちで
母親は確保され、部屋を出る。
その時、安心からかふみの力が抜けた。
そう言うと、愁斗くんは目をつぶり
手に光を宿した。
『力の発動』だった。
これで、、ふみが助かるなら………。
そう、思っていたのに。
『 力を使用すれば、本人の命が削られる 』
俺と愁斗くんは黙ってしまった。
助けられる力はあるのに、それでも代償が大きい
けれど、失うものも大きい。
その沈黙を破ったのは、ふみだった。
医師が駆けつけ、治療がその場で行われるものの
ふみの力はどんどん抜けていった。
ふみのお腹の血は止まることを知らず、赤を深める
そして、ふみは少し涙目で言葉を紡ぐ。
そして、俺の腕の中で、
俺を見上げるようにして、ふみは呟く。
必死に声をかける。
手を握っても、少しその手は冷たい。
その小さな微笑みに、俺は涙が更にこぼれた。





















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。