第14話

レコーディング当日・緊張と団結
13
2025/07/20 12:38 更新
朝、スタジオの控え室に集まったメンバーたち。
薄暗い部屋の中で、莉梨花は鏡に映る自分の表情をぼんやりと眺めていた。
(なまえ)
あなた
今日、うまくできるかな…
頭の中でぐるぐると考えが巡る。
けれど、みんなの前では笑顔を作らなければならない。
これはいつもの仮面だ。

控え室の外から、紗由理の明るい声が聞こえてくる。
田沼紗由理(たぬまさゆり)
田沼紗由理(たぬまさゆり)
みんな、リラックスしてね
快斗の冗談も聞こえる。
藍貴の軽口も。

莉梨花はその声に少しだけ安心を覚えた。
(みんな、いつもありがとう)

スタジオに入り、ヘッドフォンを装着。
録音ブースの小さな部屋の中、孤独を感じる。

「深呼吸しなきゃ」
小さく息を吐いて、マイクに向かう。

声は震えがちだった。
でも、一音一音、丁寧に、自分の感情を乗せて歌おうとする。
田沼紗由理(たぬまさゆり)
田沼紗由理(たぬまさゆり)
大丈夫、ちゃんと伝わってるよ
莉梨花は微かに頷き、ほんの少しの自信を感じた。

休憩中、みんなが和気あいあいと話す声が聞こえる。
自分だけがここにいるのは少し違う気がして、胸がぎゅっとなる。

でも、仲間の支えがある。
それだけで、次も頑張れる気がした。

最後の通し録音。
息を合わせて歌う瞬間、心の中で静かに誓った。
「負けない。ここから始まる」

拍手と笑顔があふれる部屋の中、莉梨花はまだ仮面を外せずにいたけれど、確かな一歩を踏み出したのだった。

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