「見たか、あいつの顔」
ネビル・ロングボトムが医務室へ連れていかれた後、ドラコが何かを手に持ち言った。
また何をする気かしら…。
「この思い出し玉を握れば、尻もちのつき方を思い出しただろうに」
お得意のニヤニヤ顔。
「ちょっと、」
「返せよ、マルフォイ」
ポッターが、私の言葉に被せて言ってきた。
「嫌だね、ロングボトム本人に見つけさせる」
「ドラコ、意地悪はやめてちょうだい」
「ふんっ。」
そうやって、ドラコは箒に乗って空へとんだ。
「どうしたポッター!着いて来れないのか?」
「もう!!バカ!!!」
「ダメよ、ハリー!フーチ先生に言われたでしょ!!…はぁ、なんておバカさんなの?」
ハーマイオニーが止めたが、ポッターまで飛んで行ってしまった。
「返さないと、その箒から振り落とすぞマルフォイ!」
「やられるものならやってみろ」
ドラコは、箒に乗ったまま一回転した。
「屋根に置こうか?」
そうしてロングボトムの思い出し玉を投げた。
「ドラコ!!降りてきなさい!降りてこないなら私が行くんだから!!!」
「あなた!あなたもなの?!」
ハーマイオニーが、自分の名前を呼んでくれたのにも気づかないくらいのスピードで私は箒に乗って空へとんだ。
「あぅ…あ…」
…こ、怖い
「ほ、ほらドラコ、お、降りてきなさっ…」
あ、落ちる。
だけど、体に痛みはいつまで経っても来なかった。
「ったく。何をしてるんだ、君は。」
「も、元はと言えばあなたがっ…!」
ドラコか受け止めてくれたおかげで怪我をせずに済んだ。
「…無事で良かった。君に、あんなことをさせるなんて。僕が悪かったよ」
「いいえ、私もごめんなさい。」
・
ドラコが投げた思い出し玉は、無事にポッターが取ったみたい。
「ハリー・ポッター。私に付いてきなさい。」
マクゴナガル先生にポッターは連れていかれた。
お叱りを受けるのだろう。
お叱りなら、ドラコと私も受けるべきなのでは…?
「これで、ポッターは退学だ」
「はぁ。あなたってば本当に懲りないわね」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。