目黒side
俺の視力は、もうほぼない。
この前視力に異常を感じで、病院に行ってみた。
検査の結果は‥‥
緑内障っていう、どんどん視力が失われていく病気だった。
もうすでに視界の端は真っ暗で、見えるのは真ん中だけ。
しかも唯一見える真ん中も、かなりぼやけててまともに物を見れない。
完全に治る確率は10%未満。
進行が進むにつれてその確率はさらに下がっていくんだって。
でも幸いなことに、俺は重度の緑内障じゃなかった。
これは俺が緑内障に‥‥失明しかけたときの、大切なメンバーとの物語。
上がめめの視界、下が普通の人の視界だと思ってください。
ラウールver
目黒side
今はベッドの中。
隣にはラウールがいて、そのラウールの隣には康二が寝てる。
薄暗い部屋の中の景色は、俺にとっては灰色一色。
こんな薄暗い部屋では、人の顔も見えやしなかった。
もうメンバーの顔、二度と見れないのかな‥‥?
目を見て話すことすらできないのかな‥‥?
気がつけば俺は、布団の中で1人泣いていた。
目がとおに見えない俺は、最近は声で人を区別してる。
気がつけば涙は引いていて、ラウールの手のひらの温かさが俺を包んでいた。
康二ver
目黒side
俺は頭上のアラーム音で目覚めた。時刻はおそらく7時過ぎかな。
はっきりとは見えないけど、隣ではラウールが、その奥には康二がまだ寝てる。
2人を起こさないようにベッドから立ち上がって、壁をつたいながら1階のリビングまで向かう。
リビングまでは、2階の廊下を進んで、階段を下って、また廊下を進んでたどり着く。
階段で転んだりしないように気を付けなきゃ。
視力がほぼない俺からしたら、足元も見えなくて最難関な場所だから。
えっと‥‥ここ階段で合ってるのかな‥‥?
俺の視界には段差は写ってない。
どこからが階段なの?
階段があるかを確かめようと、一歩踏み出したその時‥‥!
ズルッ‥‥!
俺は足を滑らせ、体ごと前に引っ張られる。
危ないと思ってどこか掴もうと手を伸ばすけど、そこに手すりはなかった。
だが、しばらくしても俺は転落しない。体に痛みは走らなかった。
それは、空を仰いだ俺の右腕を誰かが強く握っていたからだ。
この声、この関西弁は‥‥。
誘導っていうのはね、まぁほとんどその言葉の通りだけど
パートナーの肘あたりを持って、目的地まで連れてってもらうこと。
これがあるとないとでは全然違う。
簡単に言えば、康二が俺の目になる?みたいな感じかな。
康二の肘あたりを掴んで、一緒に階段を下る。
シェアハウスの階段はなかなか急だから、誘導無かったら2階から1階まで落ちてたかもしれないし。
康二のおかげでリビングまで来れた。
本当にありがとう、康二。
SAYAKAさんからリクエストで、めめの弱視でしたっ!
メンバーそれぞれが支えるのが良いということでしたので、こんな形式で書いてみました!(これで大丈夫ですかね?笑)
何回かに分けてペアごとに書いていきたいと思っています!
そして今回めめを支えてくれたのは康二くんとラウでした✨
次のお話はあべさくでいきます!
みなさんお楽しみに☺️
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!