学園 生活も少し慣れてきた頃、
授業終わりに担任であるやぶが猫猫に話しかけてきた。
どこかそわそわしていて……
いや、そわそわしているのはいつもか。
正直なところ、猫猫は別に他クラスの人とまで
仲良くしようという人間ではない。
けれど、猫猫はやぶの好意を捨てることができなかった。
猫猫が指定された部屋には、他にも幾人かの生徒が
集められていた。
少し待っていると、部屋の扉が開いて
男子生徒が1人、後ろから教員も入ってくる。
しかし、やはり女子生徒の囁きから聞こえるように
生徒会長の顔はとても整っている。
女子だったら……と思ったが、猫猫はふるふると顔を振る。
その手伝いとやらは、学園で行われる体育祭の雑務だった。
生徒会だけでやるには仕事量が多いものだが、
猫猫はそれに時間を取られているのだから、少し不服だ。
そもそも、これを転入生にやらせる意味はあるのだろうか。
そう言った女子生徒は、異国の血をひいているのか
赤みがある髪色と翡翠の瞳をしていた。
珍しいなと思い、そっと見つめていると
女子生徒が猫猫のほうを向き、にこやかに笑った。
受け取った紙を確認すると、
「バトンの点検」と書かれてあった。
隣の部屋からリレー用のバトンを持ってきて
割れていないか等を確認する。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。