その日、私は一つの事実を知った。
――MV制作は、静かな作業ではない。
目の前で、マリン船長が机を叩く。
ドーンって何っ。
情報量が多い…
説明を放棄された…
私は一旦、深呼吸した。
これは仕事。冷静にいこう。
……その判断は、甘かった。
突然入ってくる声。
兎田ぺこらだった。
再生数理論やめろっ。
白銀ノエルがほんわか提案する。
誰が?
不知火フレアが冷静に刺してくる。
全員が黙った。
……テーマ、無かった。
マリン船長が自信満々に言った。
私は机に突っ伏した。
気づけば、
・爆発案
・ダンス案
・鎧案
・キラキラ(概念)
が同時進行で進んでいる。
誰も止めない。
誰もまとめない。
マリン船長が満面の笑みで聞いてくる。
その瞬間、私は悟った。
このMVが完成するかどうかより、
私の正気が持つかどうかの方が問題だ。
――今日も3期生は、元気です。
そして私は、二度と“軽い気持ちでMV制作を引き受けない”と心に誓った。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。