あなたの結は今、天音と悠花と護衛の清光と共に喫茶ポトスで昼食を摂っている。今日は歌仙も燭台切も朝から出陣してしまったので弁当はない。
といった具合で厨で小火騒ぎが起き、結果としてあなたの結の弁当となるはずだった食材はすべて炭と化した次第である。
カウンターの中でガッツポーズすることは。店員としては当然である。
ちなみに悠花は焼おにぎり、天音はあなたの結と同じオムライスをそれぞれ頼んでいる。
あなたの結がそう言うと、悠花は焼おにぎりを置いて少し照れくさそうに笑った。
悠花は隣の天音に目配せし、その視線を受けた天音もうなずいてあなたの結に向き直った。
悠花の恩人であれば少しばかり興味があるし、礼儀として挨拶もしておきたい。一応悠花の友達の立場だ。
だが、会ってみたい気持ちを恐怖が封じ込めようとする。
どうせ関わってもお互い不幸になるだけだ。なら行かない方がいい。
隣でサンドイッチを食べていた清光の声に弾かれたように顔を上げると、柔らかな赤い瞳と視線が交わった。
こうして、悠花の恩人との対面が決定した。
放課後、風鈴に行くと目当ての人物はいなかった。
風鈴の生徒だという男子学生の説明を聞いて肩を落とした天音の後ろで、あなたの結はどこか安堵していた。
学校を出て顔を上げると、そこには見知らぬ少女が3人と、昨日会った風鈴の一行がいた。
自分の髪の毛を手で後ろに持ち上げて説明した天音に、柊が少し考えながら答える。
噂をすれば影、というのはこの事だろうか。後ろから律動的な足音が聞こえてきて清光が振り返ると、ポニーテールでメガネをかけ、風鈴の制服を着た男子生徒が歩いてきていた。
労った水木の前に、天音が悠花を押し出した。
真っ赤になって隠れようとする悠花を無理矢理前に出している天音を見ながら半ば呆れていると、知らぬ間に会話が始まっていた。
しどろもどろで挨拶する悠花をニヨニヨ嫌な笑顔で眺めている天音。これが恋する乙女の顔と言うやつか、とあなたの結はどこか他人事だ。
親友の恋する表情を見ながらいつの間にか優しい笑みに変わっていた天音の顔と水木と悠花のやり取りを眺めながら真っ赤になってしまった桜を蘇枋がからかい、噛みついた桜があなたの結の近くに逃げてくる。
桜を交えて談笑するあなたの結と清光を、天音がさっきとは打って変わってもやもやした表情で眺めていた。
所々腫れたり血がついたりしている顔を指差すと、桜が微妙に顔を逸らした。
桜にとって、きっと分岐点になる日だったのだろう。うまく言えないなら待ってみるのもいいだろう。
二人の間に沈黙が流れたとき、間に天音が割って入ってきた。
天音の様子に早くも諸々察知したあなたの結は、清光の腕を引っ張ってきびすを返した。
追いすがる桜の声は聞こえないフリをして、あなたの結は清光と一緒に曲がり角を曲がった。
天音は談笑に混じりながらも自己嫌悪に陥っていた。
無理矢理会話に割り込むなんて、いつもの自分なら絶対にしないことだ。誰かが仲良く話しているところを壊すのは天音の美学にも反する。
桜とあなたの結が仲良く談笑しているところを見て、自分でも意識しないうちに体が動いていた。
心の中で愚かな自分を殴り倒しながら、とりあえず明日しっかりあなたの結に謝ろうと心に決めた。
言い出しっぺのくせにネタが思い付かなくて死んでる。ウィンブレ原作沿いの新作に逃げようかなとか考えてます。
まあ、血反吐を吐き尽くしてでも完結はさせるのでご安心くだされ皆々様。

























編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。