第18話

頼れる二人の段
252
2021/12/09 06:20
陸奥国からドクツルタケとドクタケの計画を阻止をしつつ夕河の心を掴んだ数週間。とある放課後、中庭で生物委員会委員長代理の竹谷八左ヱ門と夕河が何かを作っていた。
トンテンカンテン、トンテンカンテン。
竹谷八左衛門
ふぅ。夕河。少し休憩にしよう
食満夕河
はい
猪名寺乱太郎
竹谷先輩〜。夕河〜
竹谷八左衛門
ん?あれ?
食満夕河
乱太郎、きり丸、しんべえ
休憩に入ろうとした時、お馴染み乱太郎達が近寄って来た。
摂津のきり丸
何作ってんすか?
竹谷八左衛門
これか?これはな、生物委員会で使う小屋だ
八左ヱ門が説明するとしんべえがなんとも言えない表情を浮かべる。
福富しんべえ
生物委員会で使う小屋…?
しんべえは三治郎達が小屋にぎゅうぎゅう詰めになった生物委員会メンバーを想像した。
福富しんべえ
三治郎も虎若もかわいそう。こんな狭い小屋で会議だなんて…
食満夕河
だぁぁぁぁ!(ドテン!)
摂津のきり丸
おっ!夕河が珍しくひっくり返った!
食満夕河
しんべえは優しい発想だけど安心して生物委員会で使う小屋なら飼う生き物の小屋だから
福富しんべえ
冗談だよぉ。おふざけおふざけ♪
猪名寺乱太郎
ところでなんで用具委員会の夕河が生物委員会の仕事を?
食満夕河
それがぁ……
用具委員会の仕事終わって夕河は余った時間で他の委員会を手伝うことにした。そして偶然に生物委員会が小屋の製作をしていたので一緒に手伝うことにした。最初は全員で作業をやっていたのだが途中で伊賀崎孫兵のペットが逃げ出し、次に一平がトンカチで謝って指を打ち、それから孫次郎が角材に躓きノミをぶちまけ、三治郎に刺さりかけ、さらに虎若が釘に袴を引っ掛け、お尻から破けてえらいことになり、最終的に八左ヱ門先輩と自分だけになってしまったと説明する。
猪名寺乱太郎
うわ〜。大変ですね?でも!夕河は大丈夫です!
摂津のきり丸
保証します!
福富しんべえ
忍術学園では守護神!一年生中最強ですから!
食満夕河
わすは凄くないよ!
猪名寺乱太郎
またまたぁ。謙遜しちゃって〜
夕河のやりとりに八左ヱ門はふっ笑う。
竹谷八左衛門
君が来てくれたら頼もしいよ。生物委員会はほとんどのメンバーが一年生だから。孫兵は自分のペットで忙しいし
食満夕河
この前決まった用具委員会に入ったんだが兄ちゃんは確かに後輩の面倒見がいいけどわすに関しては一応やらせてくれるけど面倒見かつ心配症だからやらせる事はほとんど運ぶだけですよ
竹谷八左衛門
ハハッ!確かにな。君の事になれば冷静を失っているから弟を思えるお兄ちゃんだと皆は思っているけど食満先輩は俺の事なんて?
食満夕河
竹谷先輩と久々知先輩は同じ五年生で委員長代理の事をしたり、委員会会議の準備したりで大変だってそれに自分で良ければいつでも手伝いますよ!
竹谷八左衛門
ハハッ!頼もしいな!
トンテンカンテン、トンテンカンテン。
竹谷八左衛門
夕河。そっち支えてくれ
食満夕河
はい。板はいいとして釘は足りますか?
竹谷八左衛門
一応大丈夫
乱太郎達と別れてから再び作業開始。しかし乱太郎達は気がついていた。いくら夕河が手伝っているとは言え八左ヱ門はかなり疲れている様子。
猪名寺乱太郎
竹谷先輩…やっぱり疲れているみたい
摂津のきり丸
一度三治郎あたりに言った方がいいんじゃないか?
乱太郎達は足早には組の教室に急いだ。
夢前三治郎
竹谷先輩が疲れている?
猪名寺乱太郎
うん
夢前三治郎
…そっかぁ。僕ももしかしたら疲れているんじゃないかな?って思っていたんだ
摂津のきり丸
なんだよそれ?分かっているなら考えてやれよぉ
夢前三治郎
そうだけど…
そう言うと三治郎は手を組み目をキラキラさせる。
夢前三治郎
責任感の強い竹谷先輩は僕達、生物委員には甘いし、夕河はこの前まで六年生と任務で行動したり、手伝ってくれたりでよく気をきかせてくれて頼りになるしぃ
福富しんべえ
だからってこのままだと竹谷先輩いつか絶対倒れちゃうよ?
福富しんべえ
それに夕河だって僕と同じ用具委員会なんだからいつでも手伝えるわけじゃないんだよ?
乱太郎としんべえに言われ流石にまずいと思い三治郎は真剣に考える。
夢前三治郎
ん〜。とりあえず竹谷先輩と夕河に相談しなくちゃ
猪名寺乱太郎
だぁぁぁぁ!
摂津のきり丸
だぁぁぁぁ!
福富しんべえ
だぁぁぁぁ!
乱太郎達はひっくり返った。
摂津のきり丸
だからあの二人は頼らないで!?
夢前三治郎
僕達が夕河みたいになんでもテキパキ出来ればいんだけどぉ
猪名寺乱太郎
とりあえず。生物委員会顧問の木下鉄丸先生にそうだんしたらどう?
夢前三治郎
木下鉄丸先生に?
木下鉄丸先生。普段は青筋を立てた怖い顔の先生だが本当はとても生徒思いの優しい先生。三治郎と乱太郎達がことを告げる。
木下先生
ぬぁにぃ⁉︎竹谷八左ヱ門が疲れているぅ⁉︎しかも用具委員会の夕河が手伝っているぅ⁉︎
夢前三治郎
はい
木下先生
なんとかしなくちゃ…よし!この木下に任せなさい!
夢前三治郎
お願いします
トンテンカンテン、トンテンカンテン。
一方で八左ヱ門と夕河はあと少しで完成までこぎ着けていた。
竹谷八左衛門
よし、夕河。釘をあと数本残して、あとの道具を用具倉庫に返して来てくれ
食満夕河
分かりました
夕河はもう使わないであろう道具を集めて用具倉庫へ向かおうとしたら木下先生と三治郎と偶然やって来た留三郎と乱太郎達がやって来た。
木下先生
竹谷!
竹谷八左衛門
あっ。木下先生と食満先輩
木下先生
ん?食満夕河も一緒なのでは?
食満夕河
呼びました?
裏陰に道具を集めて返しに行こうとしていたら呼んでいたから顔出した。
木下先生
いたのか。まあいいここからの作業は、私に任せろ!
竹谷八左衛門
えっ。でもあと少しで完成なんですよ?
食満夕河
それに顧問の先生に手伝わせるにはどうかと
夕河と八左ヱ門が断るが木下先生はトンカチを奪うように取る。
木下先生
いいからいいから!生物委員会顧問として協力させてもらう!
竹谷八左衛門
き、木下先生….!!
八左ヱ門はありがたさで涙を浮かべた。木下先生は優しく肩に手を置いて夕河を見ていた。
木下先生
お前にはいつもいつも苦労をかけていたから少し休んでいろ。夕河はもう手伝わなくていい
竹谷八左衛門
ありがとうごさいますぅ……!!
食満夕河
これで一息つきますが張り切りすぎて壊さないで下さいね
夕河は一瞬だけ氷みたいな青みが強いアースアイに変わり、木下先生が生物委員会が使う小屋を作ったのに壊す未来が見通していたの気づいた木下先生は夕河の頭を優しく置いた。
木下先生
まあ夕河先生に任せろってだから破壊神眼を使うなよ
夕河は心配をしており、八左ヱ門は近くの石に腰を下ろす。乱太郎達が歩み寄る。
食満夕河
乱太郎、きり丸、しんべえ、三治郎にそれと兄ちゃんまで
食満留三郎
八左衛門。夕河は大丈夫だったか?
竹谷八左衛門
はい!むしろ助かりました。ありがとうな。それにおかげで先生も手伝って下さることになったんですので……
八左ヱ門と乱太郎ときり丸としんべえと食満兄弟と三治郎は木下先生を見る。
そして……。
木下先生
よぉぉおし!作るぞぉぉ!!!
バシィィィイン!!!バキッ!
木下先生
ぬわぁぁぁぁ⁉︎
猪名寺乱太郎
ああっ⁉︎
摂津のきり丸
ああっ⁉︎
福富しんべえ
ああっ⁉︎
食満兄弟一同
ああっ⁉︎
竹谷八左衛門
ああっ⁉︎
悲劇は起きてしまった。木下先生が張り切りすぎて思いっきりトンカチで釘を打った途端、板に大きな亀裂が入り、そのまま崩れてしまったので破壊神眼で見通した百発百中した。
食満夕河
あっ…あっ……アァァァァァッ⁉︎⁉︎
竹谷八左衛門
あっ…あっ……アァァァァァッ⁉︎⁉︎
木下先生
………すまん竹谷と夕河。気合いを入れ過ぎて壊した
猪名寺乱太郎
だぁぁぁぁ!
摂津のきり丸
だぁぁぁぁ!
福富しんべえ
だぁぁぁぁ!
食満兄弟一同
だぁぁぁぁ!
竹谷八左衛門
だぁぁぁぁ!
乱太郎達がすっ転んだ。
木下先生
ぬわははははは………
木下先生が誤魔化す様に笑う。そして甘い性格をしている竹谷と夕河は苦笑いした。
食満夕河
……竹谷先輩…この道具…まだ使いますね…
竹谷八左衛門
…手伝ってもらったのに…なんかすまないな…
食満留三郎
俺も手伝う。せっかく一緒に作った弟が可哀想だからな
竹谷八左衛門
食満先輩も是非お願いします!?
留三郎を含めてその場にいた全員は手伝う事になり、終わらせて竹谷と夕河は疲れ果てていたから留三郎は背負って部屋に運んで行き、竹谷はそれを見てにこやかに笑っていた。

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