第15話

fur⌇グラスの向こうで貴方は笑う
1,313
2026/03/27 11:11 更新

   家の戸を引いて階段を駆け抜け、じゃらじゃらに
ぬいぐるみが付いた鞄を床に投げ捨ててから
ベッドダイブ。これがないと1日というのは
終わらない。私の日々の疲れを癒すものこそ
ベッドであり、家である。


♪ ♪ ♪


大人たちの騒がしい声が下の階から聞こえる。
朦朧とした意識の中、絞り出して思い出せるのは
部活から帰ってすぐに疲れ切ってベッドにダイブ
したことだけ。部屋の電気も付いていなければ
カーテンが閉まっていないどころか、母が朝に
網戸にしたまま窓の鍵すらかかっていない。家の前
の街灯の光が私をそのまままっすぐ突き刺す。
お腹空いたな、なんて思ってふらふらとしたまま
部屋の戸を押して急な階段に一歩一歩足を置いた。
おばあちゃんからの譲受で築うん十年となるこの家
は階段も急だしお風呂も蛇口を調節して熱湯と冷水
を混ぜるタイプ。恥ずかしくって友達を泊めれた
もんじゃない。だけどなによりも、この家に友達を
呼び込めない理由は確かとしてある。

「 お〜!あなたちゃん元気してた? 」

人気アイドルがこの居酒屋の常連であることだ。
我が家というものは一階が居酒屋 、裏の階段から
登る2階が住居となっている典型的な古びた家。
知名度もなければ常連のおじさんしか訪れないよう
なこの店に、月に2度くらい彼はやってくる。

『先週来たでしょ?変わってないです。
風楽さんこそ相変わらずお忙しいみたいですね』

え〜あなたちゃんに褒められて嬉しい!なんて
ベロベロに酔っ払って変なテンションになった風楽
さんに絡まれた。抱きつこうと伸びてきた両腕を
掴み捻ると大声で叫んだので下ろしてあげる。
風楽さん、というのはこのカウンタ一席から見える
あの音楽番組に映っているアイドルグループの
リーダー・風楽奏斗だ。
こんなおじさんみたいになった彼を見ていると
どうにも信じ難い話なのだけど。

『【人気アイドルグループのセンターが居酒屋で
女子高生にわいせつ行為】...!?』
「やだなぁ、僕まだまだピチピチよ?」
『私からしたら20歳超えてたらおじさんなんです、
おっさん』
「ねえおじさんとおっさんは違くない??
まだおじさんがいい!!」
『うるさいです』

なぜ人気アイドルがこんな裏道の裏道の裏道の
ような場所にあるぽつんと居酒屋にいるのかは、
私でもいまいちよく分かってない。お母さんの話を
聞く限り、人通りが少ないからとここの近くで
行われていたドラマの撮影の打ち上げとしてここの
お店に初来店した以来からだそうだ。

「俺はすきなの!アイドルなんだからさ〜
ちょーっとぐらいこういうプラベ?があったって
よくな〜い?」
『別にプラベがどうとかより、アイドルとしての
風楽奏斗を見ても純粋にかっこいいと思えなく
なったことに責任を取って欲しいだけです』
「なあに!責任取ってってプロポーズ〜!?」
『...【人気アイドルグループのリーダーが…』
「ごめんってねえお酒のノリじゃん!」

テレビじゃあんなにかっこよく歌ったり踊ったり、
バラエティーに出たり。
《チャラそうでチャラくない》が売り文句なはず
なのに。見てみてください、女子高生に言い寄って
るよ。テレビで輝くいろんな人が裏で風楽さん
みたいだったら、と思うだけでおぞましい。

「芸能人って裏あってなんぼでしょ」

悲しげな瞳でテレビを眺めていた私に風楽さんは
そう言ってにやりと口角を上げた。
その表情はアイドルの風楽奏斗とは全然違った
けど、むしろ正反対だったけど、なんだかキラキラ
していたような気がする。何を考えているのか
読めない瞳の奥に吸い込まれていくような、そんな
感じ。これがアイドルのカリスマ性?なんて。

「え、なに。俺のギャップにときめいちゃった?」

よろついた細長い手が、結露してべちゃべちゃと
水の垂れたウイスキーグラスを私の頬へ添えてきて
ぶわっと毛が逆立つ。
乗っ取られていた意識が急に戻ってきたみたい
だった。
急に芸能人の顔をされたらいくらアイドルに
あんまり興味のない私だって年頃の女子なんだし、
ちょっとはドキドキくらいする。普通のこと。

『だっ、だからその水付けてくるやつメイク崩れる
からやだって言ってるじゃないですか!』
「もーうるさいな~、いいじゃんどーせすぐお風呂
行くんだし」
『やっぱりそういう女の子を配慮できないところが
おじさんなんです!おっさん!!』

いつも眩しいくらいにキラキラしたアイドルが
ありのままでいられるのはこれくらい更けた夜
じゃないとダメなのかもしれない。もしかしたら、
ここは数少ない風楽さんが楽にいられる場所の1つ
なのかもしれない。
ダメだなんて分かっているのにそんな言い訳
ばっかりを並べては、私は今日も風楽さんの横の
古い椅子に座る。そしてサイダーのグラスを
ウイスキーにコツンと控えめに当てる。
いつかこの秘密の乾杯が、ウイスキー2つになって
いたらいいな なんて思ってしまうから。



   AIに🔞判定くらってしまいました…😿
紋白蝶が危なかったか⁉️ってくらいで基本健全で書いてきてるので
現在異議申し立て中です🎶普通に意味が分からない🎶🎶
申請が通ったらまたご報告します❣️

きっとないと思いますが、もしイタズラ通報だった場合!
特に怒るつもりもないしムカついてもないし、
名乗り出てほしいとか話し合いたいとか私はミリも思わないので、
もう2度と同じことはしないでくださると嬉しいです💖
それは私でも私じゃなくても、です。それだけ!

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