第10話

告白。
18
2018/09/12 13:51
───
冬休み。部活終わり。
「ねぇ土屋。有馬のこと好きなの?」
同じ部活の植野が聞いてきた。夏、秋、冬、と季節は流れ《僕》はみんながわかるほど有馬に恋をしていた。多分これは有馬にも届いていることだろう。
「うん。とても。」
否定するつもりはなかったし、否定しても無駄だと思った。気づいたら恋をしていた。そんな感じだった。
「じゃあ!告れよ!」
「無理無理。振られるよ」
白い息を空に吐き、学校の駐輪場で話していた。
「絶対いけるって。お前めっちゃあいつのこと好きじゃんか!」
確かにあの頃の《僕》は彼女に夢中だった。本当に大好きだった。しかしそんな気に離れなかった。
「だから、これは片思いでいいって…」
半分諦めて言い捨てた。
「じゃあ俺もらうよー?同じクラスだし」
植野は有馬と同じクラスで同じ小学校出身で話すところはちょくちょく見る。
「やめろ!だったら告るわ笑」
《僕》は冗談で言った。すると周りにいた部活仲間は目を見張り
『土屋が告白するって!』
と騒いだ。あーやらかした。その時思ったが遅かった。
「よし。嘘ついたらあのほおずき食えよ!」
すぐ目の前に咲いていた植野は指差して言った。
「食わねぇよ。告るから」
やる気は出てきた。でも振られるし、記念ってことでと思い告白しようと決意した。まだ《僕》は中1だったし、若気の至りだろう。

冬休みが開けた。放課後一人で作業をしていると植野と有馬が入ってきた。
「わりーわりー俺言っちゃったわ笑」
植野が告る前に有馬に《僕》が告ることを言ってしまったのだ。廊下には少しばかりか人がいたので小さめの声で
「え?なんのこと?」
ととぼけたがそれに覆いかぶさるようにして
「ごめんねー」と有馬が言ってきた。
(え、、、振られた?告ってもないのに?)
頭はそればっかりで何も考えられなかった。
「最低。」
《僕》は吐き捨てて帰っていった。昇降口を出たところに帰り道仲のいい先輩が待っててくれた。今にも泣きたい気持ちを抑えながらずっと愚痴っていた。
「土屋くんは強いね」
「なんすか笑 降られたんすよ」
慰めてくれた。でも植野のことが許せなかった。
「告ってない。振られてもないよ。」
先輩が話してくれた。たしかにと《僕》は思った。少し僕はスッキリした。そして続けて
「告れ!男だろ!負けるな」
先輩の強い言葉に後押しをされて家に帰った。
もう後悔したくない。負けれられない。せめて振られるなら告ってから振られよう。当時はスマホもメールアドレスもお互いに持ってなかったため連絡手段が電話しかなかった。
流石に家に電話かけるのは気が引ける。しかし、《僕》は勇気を振り絞り、その夕方《僕》は有馬の家に電話をかけた。

「もしもし?土屋です。穂乃果さんいますか?」
「あー土屋?穂乃果さんです笑」
電話の向こうには明るい彼女がいた。
早く伝えたい。早く返事が聞きたい。その一心で《僕》はっ、、、
「お、俺ね…そのー、、君の事が好きだ!」
ついに言ってしまった。

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