第16話

チャレンジ精神。
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2018/09/24 13:56
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「土屋。ちょっと来て」
ある日の放課後。《僕》の机に来た有馬はこう言ってきた。
「え、、あぁうん」
渋々彼女についていった。
そして1階の人気のいないとこに来た。
「土屋さ。コレ、、、」
「ん、?ああおおお」
コレと言われて手紙を出されても仕方がない。
「まだ好きなの?」
有馬が聞いてきた
「うん。」
嘘偽りない僕からの返答だった
「七海と付き合ってたじゃん」
「まあなあ」
確かにそう考えてもおかしくはない。別れたからもう関係ないだろうということにもならない。
「なんで?」
「へ?」
なんで?と聞かれることがよくわからなかったので口から変な声が出た。
「なんで七海と付き合ってたの?」
「それは、、、」
ここを付かれてしまうと自分が最低だったということが露呈する。しかし後々バレてしまうことになったらめんどくさくなりそうだと思った。
「有馬に、、振り向いてもらうため?かな」
わざと目を合わせずに明後日の方向を向きながら放った。
「、、、。最低だね。」
くらい彼女の声のトーンが薄暗い1階にこだまする。
「でも、そんくらい私のこと好きなんだね」
わかるかもしんない。と言いつつ彼女は笑った。そして
「確かに好きな人に振り向いてもらうためなら何でもしたくなるよね」
と続けた。
「うん。それくらいの気持ちなんだよ」
《僕》は後悔したくないので必死に言った。
「そーだなーぁ」
空気を変えようと明るい声で有馬がそっぽを向いた。
「君の弱みを握ったからなぁーななみにチクられたくないっしょ?」
いいことを思いついたというかのような目でこっちを見てきた。
「当たりまえだよ。なんか良くない予感がするけど?」
「ははは。やっぱ土屋は面白いなー」
「振るなら早く振れ。どうせまたチャレンジするからよ」
そう言ってこの場を離れたいという気持ちを少し伝えた。
「お!じゃあーチャレンジ待ってます!」
「え。振ったの?笑」
また振られた。でも全然悲しくなかった。この人はそんなことは気にしないタイプの人なのだろう。そう思うと気にしてしまう自分が少しバカバカしくなった。
「まあごめんよ。」
そう言って《僕》はその場を離れた。
(さあ次はいつかな)
そう思って自分の教室まで駆け上がった。

─────
そうして自分の家に帰ってきた。
手元のサクラソウはとてもきれいだ。
「ふぅー疲れた」
そう言いながら家の中へと入ってゆく。
「あ!」
目の前のほおずきが実を出した。
「食えんのかな」
きれいなほおずきの実を見つめながらその横に今日買ったサクラソウを置いた。
「会えるかなー」
そう吐きすててご飯の支度をした。

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