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第6話

影を越えて、まほろばへ
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2025/04/06 20:07 更新
社の奥から、まるで地鳴りのように“影”が噴き出していた。
黒い霧のように空を覆い、木々がざわつき、空気が震える。
ミオ
「これは……“本影”ってレベルじゃない……!」
ミオが震える声でつぶやく。
遥真の琵琶が不協和音を響かせ、朔夜の式神が空を睨む。
あなた
「中心にいるのは、誰かの“深い喪失”……」
澪音だった。
彼女は社の中央に立っていた。
膝をつき、うつむいたまま、黒い影に包まれている。
遥真
「澪音……っ!」
遥真が駆け出そうとする。だが、影が彼を弾いた。
それは、彼女の心そのもの。自らを守る、絶望の結界。
ミオ
「彼女は……気づいてる。自分の中に影を育ててしまったことに。
だから――もう誰も傷つけないように、自分を閉ざしたんだ」
ミオが呟いた。
あなた
「だけど、それじゃ彼女はずっと……影と一緒に、孤独の中に閉じこもる!」
僕は踏み出した。
影の結界は、僕を拒まなかった。
いや――受け入れてくれた。
あなた
「君の孤独は、僕の中にもある。
誰かを守れなかった後悔も、全部。
だから、わかるんだ――君の気持ち」
澪音が顔を上げた。
その瞳は、涙で揺れていた。
澪音
「……怖かった。
大切な人がまた傷つくのが、
私がまた“誰かの悲しみ”になるのが――怖かった」
あなた
「でも、それでも君は、優しかった。
ずっと誰かのことを想ってた。
その優しさが、君をこんなにも痛めつけていたんだ」
影が、波紋のように揺れ、少しずつ薄れていく。
あなた
「一緒に祓おう、澪音。
君の中の“痛み”と、僕の中の“後悔”を」
朔夜が印を切り、遥真が澪音の名を弾き、ミオが光を放つ。
あなた
「ここにいる皆が、“君の存在”を受け止めてる」
結界が音を立てて崩れ――影が、浄化された。
風が吹く。
穏やかな、まほろばの風。
澪音が、僕の手を握り返した。
澪音
「ありがとう。……私、生きててよかった」
その言葉が、すべてだった。
まほろばに光が戻る。
影が去ったこの地で、人々はまた静かに生きていく。
僕はまだ、自分が何者だったのか、全部を思い出せたわけじゃない。
でも、それでもいい。
あなた
「ここで出会えた人たちの記憶が、今の僕をつくってる」
――そう信じられるから。
終わりと、始まり。
影の向こうに、確かに光があった。
――終章。まほろばの影を祓う者たち。
                       END

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