それから、暫く口説かれ続けた私。
こんなにモテたことはないけど…まさか、こんな血まみれヤンキーにモテても…ね、
その瞬間、先程まで松野くんがボコしていた( ) 人が後ろから松野くんを殴っていた。
それは一瞬の出来事で、こちらへ倒れ込んでくる松野くんにうまく反応できず、そのまま正面から支える形となった。
背筋に寒気がした私は、すぐさま松野くんを突き飛ばした。
すると彼は『ぐえ、』と呻き声をあげ、道に倒れこんだ。
その直後。私の体に酷い衝撃が走った。
何が起こったか全く分からなかったが、頭の衝撃からして、同じように殴られたのだと思う。
そして、私はその場に膝から崩れ落ちた。
『…散っ々無視しやがってよぉ。お前、女の癖にでしゃばんじゃねぇよ』
『ここに来たのが間違ってたんだよ!死ね!!』
『…あ?んだよ黙ってろよガキ』
『は?』
『…ッざけんなよおま』
バキィッ
『い”っ』
“ 死んじゃいますよ? ”
『クッソ…ッ』
ガッ バキッ ドカッ
周囲に響く、痛々しい音。
私は気が動転していてうまく聞き取れなかったが、きっと何本か折れてるだろう雰囲気はした。
暫くすると、辺りは元の静けさを取り戻した。
私はと言うと、まだ頭がよく回らず、変わらず地面に横になっていた。
朦朧とした意識の中、松野くんは、私を抱えながら何かを呟いていたような気がした。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!