五条悟side
僕に妹がいなくなったことを知ったのは僕が高専を卒業して、教師になるためにいろいろしていたころだった。
その妹には一度、会ったことがある。
妹が生まれたのは僕が小学校を卒業式の日。
元々誰かに来て欲しいわけでは無かった。
でも、子どもながらに一人だけでも来て欲しいって思ってた。
けれど、誰も来なかった。
そのときの絶望感は今も忘れられない。
分かっていたけれど、絶望を感じた僕はその原因を探るためにいつも見たく寄り道をせず、まっすぐ家(屋敷)に帰った。
そして、使用人の目を掻い潜りながら……というかそのとき生まれた妹に付きっきりでほとんど誰もいなかった。
そして、母の部屋に着いたとき、赤ちゃんの泣き声を聞いた。
そのとき、悟ったのだ。
妹が生まれたから自分の卒業式には誰も来なかったのだと。
後々考えると妹が生まれようが生まれまいが誰も来なかったのだろう。
でも、そのときはまだ、ガキだった。
怒りと悲しみを抱えながら、誰にも見つからないように自分の部屋に帰った。
そして、五年の月日が過ぎた。
もう、高専一年生だった。
やはり、誰も入学式には来なかった。
まぁ、高校にもなると一般でもあまり、来るわけではないのかも知れないが。
そのとき、まだ、家(屋敷)においてある荷物を取りに来たとき、使用人に呼びとめられた。
何だと思いつつ、母の部屋に向かった。
その部屋の中には母、父、それと数人の使用人。
そして、小さな娘。
一目みたときから分かっていた。
この娘は自分の妹なのだと。
用件は一つ。
妹の術式を視ること。
自分が先に生まれたからもう無下限呪術の抱き合わせは、期待していないのだろうが、妹の目は綺麗な水色。
六眼であることを期待したのだろう。
……結果は無し、術式はおろか、呪力さえほとんどない。
少し上に禪院家に双子が生まれ、その二人とも落ちこぼれだと聞いた。
だからだろうか、妹に呪力すら、ほとんど無いと知った両親がとった行動は実に簡単だった。
その妹を居なかったことにする。
もし、誰かに言及されたとしても病気で死んだことにする。
バラした者は即秘匿死刑。
分かったのだ、両親だって上の連中と何も変わらないことを。
妹が、殺されてしまうかもしれないことを。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。