第183話

No.182
950
2025/03/22 10:42 更新
渡辺翔太side



仕事の入り時間よりもだいぶ早めに起きて


病院の廊下を静かに歩く


部屋の前に着いてノックしようとしたとき


病室から話し声が聞こえた。













あなた
…………ですか?
「そのままの意味だよ。」
あなた
水野先生は、どう考えてるんですか?
水野先生
僕は嬉しいです。
「ほら、水野くんもこう言ってくれてる。」
あなた
そうですか…
「いろいろとつらいことがあっただろう。
 無理にいろいろと思い出さなくていいんだ。
 ほら、過去よりもこれからが大切なんだから。」
水野先生
急いでいま、どうこうとかはないです。
あなたさんもきっといろいろと
整理したいこともあると思いますので…
あなたさんが気が済むまで待ちます。
これからはずっと僕がそばにいます。
「うんうん。ほんとに嬉しいよ。
 こんなしっかりしたした人が息子になるなんて」
水野先生
まだ早いですよ、せんせい。





あなた、噂されてた先生?、あなたのお父さん



3人が話しているんだとわかった






こんな時、すぐに全てを察してしまう自分がいやになる。





きっと、あの人と結婚するんだ、あいつ。








嫌がってるようなあなたの声も聞こえてこないし



そういうことだったんだ。





俺とは友達に…





ってそういうことかよ。








悲しいとかつらいとかじゃなくて




なんとも言えないこの気持ち。






"マジか。"





そう小さくつぶやいて





病室の扉を開けることなく、また廊下を引き返した。












マネージャー「あれ、早くないですか?」



驚いているマネージャーに軽く返事して、




すぐに車に乗り込んだ。



気分が乗らないまま現場に向かう。










どうしたらいいかわからなくて


考えてもどうにもならない現実を


受け入れることもできない。











ピコン












『おはようございます。
 今日も撮影ですか?
 頑張ってください。
 わたしも頑張ります!』







あなたからだった。





いつもだったら嬉しいはずなのに


いつもだったらすぐに返事するのに



さっきの話が頭から離れなくて



素直に喜べなくて


勝手に一人で気まずさを感じて






返信は返さず携帯を閉じた。






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