第135話

黒霧 side
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2019/06/12 22:36
死柄木 弔
おい、黒霧。
黒霧
何ですか、死柄木弔。
死柄木 弔
あいつを監視しろ。
死柄木弔の目の先が、
先程まで後ろに座り込んでいたはずの者に向けられる。

もちろん、連日の通り、今はその姿はない。
黒霧
ヘロインの事ですか。
死柄木 弔
雄英襲撃直後だってのに、勝手に外に出ていくし。変に足取り掴まれたら困るんだけど。
黒霧
どうやら、雄英付近での出没が多いようですね。
死柄木 弔
例のモルモットの女を探して、か。
黒霧
そのようですね。
私はそう答えると、あの方から届いた写真を取り出す。

テーブルの上に乗せると、死柄木弔の前まで滑らせた。
黒霧
この女のようです。
死柄木 弔
黒霧
……どうかしましたか?
死柄木弔の黙った姿に、グラスを拭いていた手を思わず止める。
死柄木 弔
……あぁ、思い出した。こいつか、木奥あなたってのは。
黒霧
会ったことが?
死柄木 弔
まぁね。
死柄木弔は指で写真を飛ばすと、カウンター席の内へと落とした。
死柄木 弔
個性『鼻』…だから、木奥あなたの匂いがすれば外に出ていくってわけか。
黒霧
とは言っても、かなりの数の個性を複合しているようですが。
グラスを磨き終え、所定の位置に戻した私は、その後も続けた。
黒霧
あの方の他に、個性を合わせ持たせることが出来るとは…。今日は特にヘロインの反応が大きかったですが…どう動きますか、死柄木弔。
死柄木 弔
そうだなぁ…
死柄木弔の座っていた足がゆっくり地に降ろされる。
カウンター席を背にし、扉を前にした彼はニヤリと口角を上げた。









死柄木 弔
俺が先に捕まえる。

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