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あの手紙が届いてもう1週間。
もう、1週間。
いつもならとてつもなく…それも、
瞬きほどの長さで過ぎてゆくほどの時間が、今回ばかりは
とてつもなく長く感じられた。
そんな独り言を、ここらへん、
ずっと繰り返している気がする…。
モノ達がちょっと最近ピリピリしているので。
話をして気を紛らす事も、叶うことはないだろう。
そう、項垂れているところで。
ある声が聞こえた。
……何だよ。うるさいなぁ……
ちょっと今は待ってて…
もう少し感情に浸らせて…
だから黙ってろよ
煩い
は…
私はこの瞬間、怠けていた体を一気に動かし。
ただ、一瞬。
この一瞬を噛み締めた。
もしかして…あの手紙が……
そう、思ったから。
こういうふうに言い合っていると、
どうも話がそれそうで仕方がない。うずうずしていても
しょうがないので、なんとなく、それとなく聞く。
あ、結構直球。
流石にもっとぼかせばよかったな…
と、思ったのもつかの間。
何だろう。ずっと前から私を知っているかのような口ぶり。
少し…いやだいぶやりにくい。
…承諾?
え、待って
嘘でしょ…
こいつ…
私の話なんて、
元から聞く気がなかったんじゃ…!
そう気づいた時には、掛け声とともに現れた
鳥居のような門に、掃除機に吸われるゴミのように。
あっさりと。
吸い込まれていった。
最後に聞こえたあいつの言葉は、
何処か不気味な声色で
私が吸い込まれるのを何とも思っていないかのように
静かに私を見つめていた。
……ここ、どこ…?
真っ白で…何もない……
……
目覚めると、そこには一瞬だけ映る真っ白な空間があった。
が、
急に空間が歪み、たちまちでっかい校舎や鳥居、
神社みたいな……空間?に様変わりしていた。
その瞬間を、私は見逃さなかった。
いや、おかしいって。
何で、こんな……え、歪んで…え、ちょ、まっ、え?
戸惑っていると、何やらムカつく、聞き覚えがありまくる
声が、近くから聞こえた。
八つ当たりとばかりに勢いよく振り向いた。
そこには、何やら大正時代の着物のような姿の、
男の子…と言っても私と同じくらいの男性が立っていた。
スラッとしていて、何処か犬のような…いや、何でもない。
男性も驚いたようで、ちょっとお互いに距離をとる。
だが、男性から発された声は、あいつの声そのものだった。
……ということは?
名前、あり……
怪異に名前があると、どうなるのか。
どのようなちいにあるのか。
その答えは単純明解。
名前を得るということは、怪異にとっては言霊という、
言葉から出る『霊を喰う』行為そのもの。
もともと霊は怪異の食料。しかし、
言霊に宿る霊は、怪異の力を大いに増強し、そのものの力を
最大限まで引き出すと言われている。
…ちなみにこれはすべて本当である。
なお、言霊は名前にしか宿らない。
怪異にとって、地位とは強さ。
ということは…分かるよね?
どうも、
胡散臭いんだよなぁ…こいつ…
…いいやで済ましていい問題なの?
………そうだ!!
すっかり相手のペースにのっていた。
あと少しで本題を忘れるところだった……!
というか、こいつが何も喋らない可能性もあるの、
頭からスッポ抜けてた!
やばい、今日、
驚くことが多すぎてもう意味がわかんないって!
……と、ばかりに強引に話題をそらし、
私は本題に戻らせていただいた。
ここは異空間。かの有名な月読尊…もといツクヨミ様が、
この空間を作った。
ここは、怪異育成所。正式には学園として話が通っている。
そして、こんなところを作ったツクヨミ様も、
実は怪異で、名前あり…で、現在もここにいるらしい。
そして、ここは大正時代に開いたこと。
沢山の、私ぐらいの年の怪異がいること。
異空間からはいつでも、鳥居を潜れば帰れること。
そして、学園長はツクヨミ様だってこと。
諸々を説明してもらった。
学園長…、学園長…がくえんちょう…、
=月読尊…ツクヨミさま…………………ツクヨミ様?!
……という話は置いといて、
……ん?ぇぇぇっとぉ……
いや、いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや。
だって、さ、怪異が通う学校でしょ?
で、私人間じゃん。正真正銘の!。浮けないし!
と、まぁ、なんかピリピリした空気になったところで…
え、いや、でも…
……は?
聞いたことない……だって、最初に、…
…いや、もういい加減認めよ。こいつは
私の心当たり全てが怪異の特徴だと言っているもんだし。
浮かない怪異もいるらしいし。
やけに私の諦めが早いのは、癖だと言っていい。
周りの事情で、なんやかんやで忙しすぎて。
放棄する癖ができている。
良く言えば、切り替えが早いと言うことだ。
ただ、1つだけ確認しないといけない事があった。
そう。根本的な問題。
こいつが嘘をついているのかどうか。
私は人生で、浮かない怪異を視た事がない。
ということは、単純にこいつが嘘をついている可能性。
まぁまぁあるとは思うけど…
まずここで違和感。
陰陽師は、人間の職業…と言っても超昔のだけど。
それが怪異?ありえないね。
そもそも、私はあの星を丸で囲った、
あの陣を見たことがない。怪異を払ったこともない。
そして、平安時代に潰えたその職が、
なぜまだ生きているのか。そして、
なぜ今まで私が視ていないのか。
それらの疑問を一気にツクヨミ様にぶつけた。
ツクヨミ様は、丁寧に一つずつ答えてくれた。
第一の質問。
これは、単純に種族に生き残りがいたということ。
第二の質問。
この品種はとてつもなく珍しく、
日本だけで2人くらいしかいないらしい。
もっと違う質問もあったが、それらも全て答えてもらえた。
……納得、はできていないけど、これらは嘘にしては事実
として正当な理由しか無かった。
信用はしたが、納得はできなかった。
少なからず、私は怪異らしい…ということはわかったかな。
当のツクヨミ様は、私の質問攻めに耐えた代償か。
ぐったりしていた。イメージとして、頭に鳥が回っている。
……
送信?
ツクヨミ様は不気味に笑い、
ものすごくきっしょい言い方で、私を絶望に突き落とした。
次回予告
学園に転入することになった神楽。
意外と簡単だった勉強を乗り越えた先にある転入先は……
……問題児クラス?!
もう少し、静かにできないのか、おめーら!
いい加減に、しろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!
次回、Sクラス お楽しみに!
See you next time Goodbye












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!