第11話

青春っぽいの書きたかった【後編】
1,352
2022/07/03 04:00
数分のうちに、雨風は強くなり、波は荒れだした
洞窟の奥にいるから濡れることはないけど、冷たい風のせいで体温が低くなっていくのを感じる
なつぴょん
…さむ、い…


学校から帰ってからすぐにここに来たから上着も傘も持ってるはずがなく

なつぴょん
…雨が止むか、洞窟まで水がくるか…
なつぴょん
…凍え死ぬか

不思議と、死ぬのが怖くなかった

逆に、このままいけばもう他の人に迷惑をかけなくて済むんだって

















          『さようなら』

















瀬戸あさひ
バカ!こんなとこで何やってんだよ!
なつぴょん
!?

瀬戸が、いる?
瀬戸あさひ
体めっちゃ冷たくなってるじゃん!
ほら、これ着とけ!
なつぴょん
う、うん

…あったかい。瀬戸の匂いは何故か安心できる
なつぴょん
あ、あれ

泣き止んだはずなのに、また涙が…
瀬戸あさひ
………


ぽんっ
なつぴょん
!!
なつぴょん
………
なつぴょん
瀬戸は…ずるいよ…



瀬戸が来てくれた安心感で…僕は子供みたいに声を出して泣いた


その間、瀬戸はずっと僕の頭を撫でていてくれた


泣いているうちに、雨雲は通り過ぎていったらしい
瀬戸あさひ
もう大丈夫?
なつぴょん
うん、ありがとう
瀬戸あさひ
じゃあ雨も止んだみたいだし、ここから出るぞ





   随分長い時間洞窟にいたらしい、空には沢山の星が輝いていた
なつぴょん
うわぁ綺麗…
瀬戸あさひ
あぁ…
瀬戸あさひ
じゃ、ねぇんだよ!
なつぴょん
!?ビックリした…何?
瀬戸あさひ
何があったんだよ、あそこにいたってことは
何かあったんだろ?
なつぴょん
…ううん、またお父さん達が喧嘩してただけ
瀬戸あさひ
…本当にそれだけか?



なつぴょん
…瀬戸はさ、僕のこと邪魔だと思う?
瀬戸あさひ
……はぁ?


説明するのちょっと…恥ずかしいし…さっきあんなに泣いたばっかだから余計に…
瀬戸あさひ
…なつが何を考えてるのか俺は分からないけど、
1度も邪魔とか思ったことないよ



…はぁ、さらりとこういうこと言える瀬戸…ずるいよなぁ

普通のことも瀬戸が言うとかっこよく聞こえるし、




いい言葉が欲しいんじゃなくて、瀬戸の言葉が欲しいんだなって思える
なつぴょん
(…泣きすぎたせいかいつも以上に瀬戸に甘えてるなぁ)

瀬戸あさひ
なーに笑ってんの
なつぴょん
べっつに〜?やっぱ瀬戸のこと好き
だなって思っただけ



…あ
なつぴょん
いっ今のなし!
あ、違う!
なつぴょん
無しじゃない!けど無し!
やばいテンパって何言ってるのか自分でも分かんない
瀬戸あさひ
なつ
瀬戸あさひ
ちゃんと言って?



…っ…いや…
なつぴょん
無理!今は無理!
瀬戸あさひ
どうしても?
なつぴょん
っ無理!
瀬戸あさひ
じゃ、いいや
なつぴょん
え、ちょっ


くっそ…瀬戸のやろう…どうしても僕に言わせる気でしょ…じゃないとこんな潔く退くはずがないもん…

なつぴょん
瀬戸嫌い
瀬戸あさひ
そりゃどーも
なつぴょん
褒めてないけど
瀬戸あさひ
そうだった?
なつぴょん
…あーもぅ…
何言えば諦めるか考えていると…
お母さん
なつき!
なつぴょん
!?お母さん!
お母さんは僕に走り寄ると力いっぱい抱きしめてきた
お母さん
ごめんね…
なつぴょん
…え?
お母さん
お母さんたちが喧嘩してたからあんな、
大雨の時に…
お母さんの顔をよく見ると、目が赤くなってるのが見えた
なつぴょん
(泣いた跡…?)
なつぴょん
っでも、僕がいるから喧嘩しちゃうんじゃ…
お母さん
そんな訳ない!なつきは悪くないわ
お母さん
最近お互い上手くいかなくてぴりぴり
してたから喧嘩しちゃっただけだから


そう言って優しく僕の頭を撫でてくれる



いつも通り、優しい笑顔で
お母さん
さぁ、お父さんも心配してるから、
そろそろ帰りましょ
なつぴょん
うん!
お母さん
あさひ君もありがとうね
瀬戸あさひ
いえ、俺はただ見つけただけです
お母さん
それでも、本当にありがとう
お母さん
さぁ、帰りましょっか
なつぴょん
あっちょっと先行ってて
なつぴょん
すぐに追いつくから!
お母さん
分かったわ、それじゃ


スタスタスタ



瀬戸あさひ
帰んないねぇの?
なつぴょん
瀬戸…耳貸して
瀬戸あさひ
いーけど…




なつぴょん
「…………」
瀬戸あさひ
えっ
なつぴょん
瀬戸なら意味わかるっしょ!
じゃーね!また明日!





なつぴょん
(流石に恥ずかしかった…)

でも最後の瀬戸の真っ赤な顔が見れたからいっか



なつぴょん
…明日どんな顔で会えばいいんだろ…
なつぴょん
…やっぱ瀬戸嫌い!



もう姿が見えない″あいつ″に向かって言ってから、僕の意識はゆっくり夢の中に引き込まれていった



        「月が綺麗ですね」

             〜I love you〜




ナミ猫
ナミ猫
青春っぽいの書くつもりが…迷走しましたね…
あと学生ってこの告白する人いるんですかね…
まぁいっか()
ナミ猫
ナミ猫
ついでに、この告白をされたSさんは衝撃で
15分くらいその場に突っ立ってたらしいです
ナミ猫
ナミ猫
…今度は…花言葉でもいれてみようかな…
ナミ猫
ナミ猫
それでは!ここまで読んでくれてありがとうございました!

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