〜 亮太 side 〜
高校に入学して、教室でもグループが決まり始めた頃。
ガラッと教室のドアが空いて、
先生と見知らぬ男が入ってくる。
もちろん周りもざわつく。
「 イケメン 」「 え、可愛い系だよ 」 「 ノリ良さそう! 」
「 亮太くんもいるしうちらのクラス当たりだね! 」
女子らが騒いでる。
俺の横を通り過ぎて後ろの席に座る。
先生が教室から出て行く。
肩をぽんぽんと叩かれる。
俺に話しかけてたのか、
山口の周りに女子が集まりだし、俺も体を前に向ける。
コミュ力高い…と言うより人を寄せやすいのか。
机の中から教科書を出し、授業の準備をする。
チャイムが鳴ると女子が席に戻っていく。
こいつの周りに誰もいなくなったのを見て言う。
俺の隣に机を持ってきて、隣の席の女子に謝ってる。
と、席に座る。
それがこいつ。
山口雅との出会いだった。
こいつが転校して来てから、
緊張でぴりぴりしていたクラスが明るくなって、
さらに、先生問わず誰にでも懐くこいつを皆が
犬みたいだとポチと呼ぶようになった。
ただ席が近かっただけの俺の隣にずっといるから
いつの間にか俺も心許してて…
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ある時の放課後、
と、体操服姿で、部活の途中なんだろう。
部員がテニスボールをどこかに飛ばしたのか、
ポチが拾いにグラウンド倉庫の裏まで走ってきた。
女子の前に立って、ポチから隠す。
ポチがグラウンドに戻って行く。
俺も更衣室で弓道着に着替え、部活しに行った。
ー
ーー
ーーー
部活終わり、たまたま更衣室でポチと合った。
わざわざ俺の隣に鞄を持ってきて、着替え出す。
着替え終わる。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。