流石国一の都市と言われるだけある。
この国に来てから1年ほど経つというのに、まだ歩き慣れていない。
今日の目的地はオペラチオ市場。
別名妖精マーケットと呼ばれるこの市場は、名前の通り妖精が全て管理しており、食べるとちょっと良いことが起こる砂糖菓子や噛んでいる間だけ頭の回転がとんでもなく速くなるガムなど、変わったものがたくさんある。
俺の狙いは星巡りのレンズ、という眼球に新しい膜を張って瞳の色を変えることのできる便利アイテムだ。
俺の瞳は特殊で、とても希少らしい。瞳のせいで虐げられたりレアな瞳を手に入れたいバカ共が眼球をくり抜こうとしていたりするので希少だからといって何もいいことはない。
何度かバレたことがあってそのたびに死にかけている。
だからバレないよう何かで瞳を隠す必要があるが、流石に帽子でずっと隠すことはできないから星巡りのレンズは重宝している。一生の相棒だ。
やけに人が多いと思ったら、今日は開門記念祭だったらしい。やっぱ来るべきじゃなかったな…
いつもは城に籠もってるお偉い様方も、今日だけは街に出て開国1周年をお祝いするらしい。
そんな事を考えていたら、人にぶつかってしまった。
ぶつかった衝撃で尻もちをついて動けないままでいると、ぶつかったであろう人が手を差し伸べてくれた。
妖精とは普通に喋ることができるが、人とはどうも上手く喋ることができない。その上外出することがほとんどないので、一向に慣れることがない。
辺りを見渡すと、帽子は意外と近くにあった。
帽子は手を差し伸べてくれた人の真横にあった。
さっきも言った通り、俺の瞳は特殊なので、星巡りのレンズで瞳の色を変えるか、帽子で隠さなければいけない。
だが、今は瞳の色を変えていないし、帽子も被っていない。
つまりありのままの瞳を見られている。
まともに謝罪の言葉も言えなかったが、今はちょっとそれどころではない。
できるだけ速く走らなければ。
割と今の家は気に入っていたけど、バレてしまったら仕方がない。家に荷物はほとんどないから3日くらいで引っ越しはできるだろう。














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。