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第1話

◇ 音色
34
2026/01/20 13:12 更新
  冷たい風が静かに吹き込む深更 。
  静寂に包まれた廊下を歩くと 、
  少し遠くで奏でられるピアノの音が
  私の耳に優しく響いてくる 。

  私はその音色に合わせるように
  靴を鳴らして 、小気味の良いリズムで
  この夜を密かに楽しむ 。
  アトリエのドアを開くと 、
  ピアノから手を離した
  彼がゆっくりとこちらを振り向き 、
  少し面倒そうに声をかけた 。
トリース
 何の御用ですか 、歌姫さん  
あなた
 ... 貴方の素敵な音色に  
 惹き寄せられただけよ
  
  友人と言うには遠いけれど 、
  知人と言うほど遠くもない 。

  夜更に少し 、お互いの音を聴くだけ 。

  _____ 本当 、不思議なものね 。

  こんな関係が永く続きますように 、だなんて 。

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