第47話

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2025/03/09 12:10 更新







_@_
 




うっすら目を開けると見える兄様の表情。
 
集中している時の癖が出てる。




💭 顔怖いなぁ…




グッと眉間に寄せられたしわに加え

いつもよりキツめのメイク、


兄弟じゃなかったら泣くかもしれない。




兄様は誰がどう見てもお母様似だ。
 
成長するにつれてどんどんそっくりになるが、


最近その判別がつきにくいのは

彼の表情のせいだろう。




お母様がしないようなその険しい表情は、


元々の美しさに

それを上回る冷淡さを加えている。
 
"兄様顔怖いよ" なんてからかったら

もっと怖くなるだろうから言わないけど…




_@_
…こら
動くなって言ってるだろ
何かくすぐったくて
_@_
まったく…



ブラシにインクを取りながら

ちらりと時計を見やった兄様は、


「あと10分か」と呟く。
 
再び彼が顔に手を添えてきたところで目を閉じるが、

暫く待っても肌に冷たい筆先が触れてこなかった。




…?
_@_
_@_
お前、
 
_@_
目はそれでいいの?
…え?
あ、うん




"目" とだけ聞かれて一瞬何のことか戸惑い、

しかしすぐにその意味を理解する。
 
あまり納得がいっていない様子で

兄様は「ふーん…」と答えた。




_@_
今日ぐらい構わないと思うけどね
だ、だって…気持ち悪いじゃん
_@_
それはハロウィンでも気にすること?
_@_
そもそも普段から隠す必要もないのに
…でも
_@_
別に無理にとは言わないよ
_@_
ただ僕は"元のまま"の方が
むしろいい気がするけど
……




兄様がメイクを施していない方の目に

すっと手をかざしてきて、


恐る恐る鏡を見ると

左目にかけていた色変えの魔法が解けた。




……




いつ見ても気味が悪い、

赤くて、ひび割れた、悪魔みたいな瞳。
 
私は思わず鏡から顔を背けた。




_@_
_@_
…やっぱり嫌か
こ、こんなの人に
見せるものじゃないよ ㅎ
気分悪い…でしょ?




生まれた時からなぜか左目だけこの状態で、

どんな魔法医術を施しても治らなかった。
 
右は皆と同じ普通の瞳なのに、

左は充血して亀裂が入ったような瞳。



病気だとか呪いだとか散々言われたし、

昔はよく気色悪がられた。
 
色変えの魔法を使って生活してからは、

周りにも知られず特に不便もしていないが…




_@_
僕はそうは思わないって
何度も言ってるだろ
_@_
卑屈になるのはやめな、
もう分別のない子供みたいに
お前をからかう奴はいないよ
そ、そうかもしれないけど…
 
…でももし、
もしジョングガが
嫌がったら…?
_@_




"ハロウィンだから今日ぐらいは"
 
それは最初、もちろん私もちょっとは考えた。



でも鏡でまじまじと見て結局それをやめたのは、

ジョングクの反応が怖いからだ。
 
ジョングクが私を傷つけるようなことを

言うはずがないのもよく分かっているし、


彼の優しくて誠実なところを信頼している。
 
しかしそれでも恐ろしいんだ、

私はその信頼を何度も裏切られてきた。




ジョングガに気持ち悪いとか
思われたくない…
_@_
_@_
はぁ…




反応を伺うように顔を上げると

ガッと乱暴に両頬を掴まれて、


兄様は深いため息と共にメイクを再開する。
 
また冷たいインクが顔に触れて

私は不満いっぱいに彼を見上げた。




_@_
…大雑把なくせに
そういうところは気にして
_@_
全くめんど…複雑な子だな
…面倒くさいって言わないで
_@_
いいかいあなた、お前がその卑屈を
やめるまで僕は何度でも言うけど
_@_
お前の目は気持ち悪くないし、
僕ら家族が一度でもそんな風に
お前に言ったことがあるか?
…な、ぃ
_@_
一度でも僕らがお前の目を嘲笑ったか?
…ない、
_@_
一度でもお前を嫌ったことがあったか
ない…ッけど、
家族以外じゃ…っ




「家族以外じゃそうとは限らない」
 
その言葉を塞ぐように、

兄様は私の唇にそっと人差し指を押し当てた。




_@_
…僕らみたいに接してこない輩と
付き合いを持つんじゃない
 
_@_
もしもチョンジョングクが
目を理由に距離を置くような奴なら、
僕はアイツにお前と踊らせないよ
_@_
そんな男がお前に触れるのを
この僕が許すものか
…兄様、



彼は静かに筆を置いて手鏡をこちらに寄こす。
 
映りこんだ自分の顔は酷く不安げで、


しかし兄様が施した金色のメイクは

華やかで美しかった。




兄様と同じマスカレードマスクの模様、

兄様とは違うひび割れた赤い左目。
 
兄様は白い布で手を拭いながら

「さ、もう行くよ」と立ち上がった。




_@_
…その目のことで誰かに何か
言われたら、僕に言えばいい
_@_
学園から追い出すこと
くらいはしてやるから
…うん、




…たまにこの人はこうやって、

すっごく優しい顔をする時がある。
 
それこそお母様みたいに。




ズ…グスッ…
 
_@_
…あなた、まったく
_@_
泣いたらメイクが
落ちるじゃないか…
泣いて、なぃ…っ




先に部屋を出ようとした兄様の背中に

顔を伏せたままギュッと抱き着く。
 
彼は体をこちらに向け直し、頭の上に手を置いた。




…いつもこれぐらい、
優しくてもいいんだよ
_@_
_@_
…いつもこれぐらい
素直でいても構わないよ
……いつもいつも
怒らなくたっていいんだよ
_@_
いつもいつも怒らせないで
くれても構わないよ
……
…意地悪
_@_
どうとでも




ふと部屋のすみの姿見に視線を移すと、


今のこの状況のせいか

本当に兄様がナイトみたいに見えた。
 
無愛想だし、忠誠心とかまったくなさそうだけど、

でも似合っているのは確かだ。



テヒョンアもセンスがいい。




…兄様
今日、やっぱり
ちょっとかっこいいね ㅎ
_@_
 
_@_
…お前も可愛いよ
 
…!




一瞬だけ表情を弛めて微笑んだレアなジン兄様を、

私は運悪く鏡越しでしか見れなかった。

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