夜の街は、まるで別の生き物のように息づいていた。月光がビルの隙間を縫い、路地裏に不気味な影を落とす。そこに、黒い霧が這うように広がった。霧の中から現れたのは、赤い目が輝く獣――「影の獣」。その咆哮は、夜を切り裂く刃のようだった。
「封印、完了!」
鋭い女性の声が響き、黒い鎖が獣を絡め取る。鎖の先には、黒い紋様が刻まれたガントレットを装着した手。煌舘彩花、秘密組織《暁の楔》の情報司令官だ。彼女の背後では、短剣を構えた青年・悠真が獣の動きを牽制し、整備士の匠が封印装置を起動する。小さな少女・美桜が通信機を操作し、敵の位置を正確に伝える。
家族全員の連携により、影獣は光の粒子となって消滅した。だが、彩花の目は安堵ではなく、深い懸念に満ちていた。「ハルの封印が……そろそろ限界ね」
遠く、街の灯りが届かない部屋で、煌舘ハルはベッドの上で身を起こす。左目が焼けるように熱く、黒い紋様が腕に浮かび上がる。「な、なに、これ……?」 彼女の呟きは、夜の闇に溶けていった。
この物語は、普通の少女が家族の秘密と向き合い、契約者として覚醒する一歩を踏み出す物語である。煌舘ハル、15歳。彼女の左目に宿る「漆黒の眼」が、運命の歯車を回し始める――。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。