「何か当てはあるのか?」
屋敷を出て、もとい半ば追い出されて、シルラはグロースと一緒になだらかな山道を歩いていた。
「当てなら...ないことも、ないですね」
「どっちだ」
「そういえば...お父上はどうされたんだ?」
横を歩く彼を軽く見上げる。
「あぁ...死んだらしいです」
恐ろしく軽い口ぶりだった。
それに吃驚しつつ続ける。
「お母さまに着いて行ったから...すまない」
「いえ、もしあの野r...失礼、父だけ生きて帰って来ていたら私は父を許せなかったと思うので大丈夫です」
またも軽い口調だった。
シルラは父親がいないから分からないがそういう事もあるかもしれないと思う事にした。
「そうか」
ないこともないらしい当ては、魔法協会とやらの仕事だった。
歩いて歩いて辿り着いたのは看板が傾いている、お店だったらしいボロ屋だった。
「これが....当て...?」
外側がぼろぼろだったが内装は小綺麗で、至るところに本が詰まっていた。
「中は綺麗だ」
シルラが外観との違いに感嘆の溜息を漏らすと、グロースが得意げにふふん、と笑った。
「私が綺麗にしました」
魔法協会とは、メイジが沢山いて、ウォーロックを殺すためにある組織らしかった。
ボロ屋の奥の暖炉に魔法を使いながら入ると、魔法協会のドアがたくさんある部屋に繋がっていた。
試しに魔法を使わないで暖炉に入ってみてもただ壁があるだけだった。
グロースには商才が割とあって、魔法協会の中継地の様なここに、本を大量に置けば買ってくれる、と自信満々に語っていた。
魔法協会は魔法を使える人間しかいなくて、居心地が良くて、暇さえあればそこに入り浸った。
ベルヴァルムの人たちの分も、ウォーロックを殺して殺して、殺しまくった。
シルラは聖霊の力が人より少し弱かった。
聖霊の強さは打ち出せる魔力の量に直結する。
だからその分、速く魔力を取り込んで、速く攻撃を仕掛けて、速く、速く、魔法を撃てるようにした。
もともと魔法を使う環境にいたから、速くするのは簡単だった。
魔法を復讐に使うようになってから、強いウォーロックと戦って殺すのが快感だった。
身体が温かくなった。楽しかった。
そうして殺しまくって、速くなる様に頑張って、何故か二つ名を貰って、気づけば10年が経っていた。
二つ名は、毎年魔法協会がその年に一番強かった人にもっとも、シルラは強くなんかなかったが、与えられるものだった。
その頃、二つ名を貰った人が毎年殺されていてグロースに煩いほど心配されたが、軽く受け流していた。
だってたぶんその人も、殺せるから。
そう心の中で、少しそう思っていたのだと思う。
わたしなんか弱いと思いながら、少し、ほんの少しだけ、脳みその片隅で驕っていた。
ある日、いつものようにウォーロックを殺して、山道を歩いていた時の事だ。
杖を髪飾りに変えて、普通に歩いていた。
ごく普通に。
不意に声がした。
人の気配なんて、しなかったのに。
べたべたと纏わりつくような、そんな声だった。
「ねぇ、そのバレッタ、杖だよねぇ?ウィッチさん?」
無事中3病に進化しましたデジタルタトゥーを絶賛生成中でスランプなうすぎる作者ですぅ
あと作者的には、もしこの駄文の塊が億が一アニメ化したら、シルビアさんとシルラさん(大人)は同じ声優さんがいいです
たぶん絶対アニメ化しませんが











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。