…まぁそんな簡単に話そうとなんてしないよねぇ
いじめられてた子も、涙こそ止まったけど
もう話す気力もないような感じだし…
ジュンギュも、口を出すタイミングがないからか
ずっと黙っている。
ここで少し、場の空気を和らげてから話そうと思った。
…理由としては、こいつらを油断させるため。
あとは…ジュンギュにも
口を開かせてあげようと思ったから。
このままジュンギュが何も喋らないまま
帰るなんてことになったら
ジュンギュはきっと損したような、時間を無駄にしたような気分になってしまうだろうから…
いつもは早く帰っているんだ。
なぜ引き止めてここまで連れてきてしまったのか
僕も分からないけど…
きっと、『先生』としての何かが
そうさせてしまったのだろう。
うん、知ってるよ。
だって、僕は高1の時からこいつの…
正確にはこいつがいるクラスの担任を持ってるんだから。
誰かのために、誰かを救うために、
過ちを犯してしまうことなんて
聞かない話なんかじゃない。
だからきっと、この子も………
今、"あの話"をされては困る。
僕の圧を感じたのか、ジュンギュは僕から顔を逸らし
靴箱へ向かって行く…
そして、靴を履きながら、彼は言った。
そう言い残して、ジュンギュは去っていった。














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。