第12話

第12話 私たちが設定した世界
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2023/09/04 11:00 更新
紬
紬
ようこそ、ふたりとも!
元気な声が聞こえてあたりを見回すと、そこには変身前の姿のツムギちゃんがいた。
賢人
賢人
……ここは? ……すごいな、本当に来たのか
(なまえ)
あなた
ツムギちゃん……私、あなたの世界に来られたの?
紬
紬
そうだよ。わたしの世界に来てくれてありがとう!
紬
紬
あと……ふたり、すっごく仲良しだね
(なまえ)
あなた
……え?
賢人
賢人
……え?
私と賢人は、手をつないだままだった。
慌てて手を離す。
そんな私たちを、ツムギちゃんはくすくす笑いながら見つめていた。
……自分が設定したキャラクターに遊ばれるなんて。
紬
紬
それじゃあ、この世界を案内するね
私たちがいる場所は、どうやら公園だったようだ。
近くにあった案内図を見てみると、この公園は芝生エリア、野球場、テニス場、並木道、アスレチック……と、とにかく広い。
紬
紬
思っていたとおりの公園をありがとうね、あなたちゃん
紬
紬
一日中ここで過ごしても飽きないよ
(なまえ)
あなた
確かに設定はしたけど、実際に来てみるとすごく大きな公園になったね
賢人
賢人
しっかり想像しながら設定しているつもりでも、現場はやっぱり違うってことだ
賢人
賢人
作家はよく、参考になりそうな場所を実際に見に行くぞ
賢人
賢人
そういう風に取材してもいいが、普段からいろんな場所に足を運んでおくことも大事だろうな
ついつい夢中になって話しているうちに、ツムギちゃんの背中が遠くなる。
私たちは慌ててツムギちゃんを追いかけた。
紬
紬
気温は年中高めだし、雪は年に一度あるかないか
紬
紬
快適でとっても過ごしやすいよ。海も近いし、言うことナシだね
(なまえ)
あなた
結局、島っていうことにしたけどよかった?
紬
紬
もちろん。島っていってもけっこう大きいから特に不便なこともないし
賢人
賢人
……それにしても、やっぱり自然が多いと気持ちいいもんだ
あちこちに花壇や街路樹、緑たっぷりの公園がある。
私が作ったツムギちゃんの世界は、現代よりも少しだけ未来にした。
今、私たちが住んでいる現実の世界は温暖化のニュースが頻繁に報道されていて、自然が減ってきている印象なんだけど……。
ツムギちゃんの世界では科学が発展して、少ない水や光でエネルギーが作られるようになった……ということにした。
まだまだ知識のない私なりの、世界が本当にこうなったらいいなっていう願いも込めて。
紬
紬
科学がある程度発展して安全なエネルギーが確保されたおかげで、自然が保護されるようになった……っていうわけね
私の心の声を、ツムギちゃんが引き継ぐ。
紬
紬
自然が増えてダメージが減ったおかげで、この星の生命力は戻って来た
紬
紬
……そして、その生命力を欲した“敵”が襲来したっていうわけ
賢人
賢人
敵が宇宙から来るっていうのは、最初は思い切った設定だと思ったが、こう物語にのせてみるとしっくりきてるな
(なまえ)
あなた
ツムギちゃんの星は、科学力を活かして自然を守った
(なまえ)
あなた
でも、敵の星は科学力をより高めるために自然を犠牲にし続けた
賢人
賢人
高い科学力の代償が、星のエネルギーの枯渇(こかつ)だったってわけだ
紬
紬
そうだね。だから……ああいう風に、ときどき襲ってくるんだよ
上空に強い光が突然現れた。
光がおさまると、そこには巨大な異形の生き物。
子どもがクレヨンで書き殴った絵を繋げたような姿で、空中を漂っている。
(なまえ)
あなた
……あれが“敵”だね
賢人
賢人
大きさまで設定したのはこちらだが、実際に見ると迫力がすげぇな……
あの敵が狙う生命力は、自然そのもの。
自然が豊かな場所が狙われる。
彼らは、自然物をそのままエネルギー化する技術を持っているから。
(なまえ)
あなた
ツムギちゃん、戦わなくちゃ!
紬
紬
うふふ、今日は大丈夫。“仲間”が戦ってくれるから!
その瞬間、私たちの前に異形の物が現れた時とは異なる、あたたかい光が現れた。
光がおさまった場所に立っていたのは……。
ユイ
ユイ
今日は任せてよ
キズナ
キズナ
ツムギちゃんは、あなたちゃんを案内するんだよね~?
紬
紬
うん。任せるからよろしくね!
ユイ
ユイ
じゃあ、行ってくる
キズナ
キズナ
やっつけてくるからね~
2人の魔法少女は、空高く飛び立っていく。
(なまえ)
あなた
魔法少女ユイちゃんと、魔法少女キズナちゃんだね
紬
紬
そう。魔法少女仲間!
紬
紬
この星に敵が襲来するのは、初めてじゃなくて大昔にもあったんだよね
紬
紬
その時、敵をやっつけた魔法使い一族が、こっそり魔法を継承していた
(なまえ)
あなた
それがツムギちゃんと……もともと同じ家系だったユイちゃんとキズナちゃんだね
賢人
賢人
魔力のピークは10代だから、一族の子どもから後継者が選ばれる……だったな
ツムギちゃんは、喫茶店の前で立ち止まった。
紬
紬
ここ、お気に入りのお店なの!
(なまえ)
あなた
……うん! 知ってるよ
紬
紬
えへへ、そりゃそうだよね
紬
紬
あっちのパン屋さんも、学校も、好きなところばっかり
紬
紬
……あなたちゃん、賢人君。素敵な世界をありがとう!
だんだんと、視界が白くぼやけてくる。
そろそろ時間切れだ。
紬
紬
あなたちゃん、あとはわたしたちを活躍させる物語をよろしくね
紬
紬
今のあなたちゃんの全力で、この物語を最後まで書き切ってね
(なまえ)
あなた
大丈夫だよ。絶対に書き上げるからね!
賢人
賢人
責任持って、最後まで書かせるさ
私たちは最後にお互い握手を交わし……。
私と賢人はもう一度、手をしっかりとつないだ。
きっと大丈夫だろうけど……確実に、ふたり一緒に、私たちの世界へ帰るために。

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