第7話

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2025/04/23 07:50 更新
リノside



ピンポーン、ピンポーン



あいつの家のインターホンを押してみる。

微かに声が聞こえたような気がしなくもないが

反応はない。

少し迷惑だとは思うがマロをずっと家に置いとくわけにも行かないし

そこまで反応のないあいつも心配だし…

インターホンを連打した。



5分くらい経っただろうか。

まだあいつは出てこない。

流石に諦めようかと思った時

「かちゃん」と鍵が開くとともに、何かが落ちるような音がした。

急に鍵が開いたことに少し驚いていると

中から微かに「うぅ」と唸るような声が聞こえた。

少し不安になってドアをそっと開けると

玄関で倒れているあいつがいた。

リノ
リノ
お前っ!


急いで駆け寄るとあいつはゆっくり俺の方を見た。

驚くわけでもなく、俺の方をじっと見つめてくる。

何かおかしい。

あいつだったら俺に怯えるように体を小さくするのに。

人が苦手なあいつなら……

ふと体を触ってみる。

39度は超えてるんじゃないかってくらい熱かった。

そういえばこの部屋も尋常じゃないくらい暑い。

エアコンが付いてないのか?

そんなことを考えていると

あいつが泣きそうな目でこっちをみる。

あなた
………たすけてっ
リノ
リノ
…っ!


俺は急いで体を抱き上げて、俺の家へと走った。

俺の家に着く頃には熱のせいか、気絶しているようだった。

急いでタオルを水で濡らしておでこに当てた。

かなりしんどそうに息をしている。

保冷剤を首の裏や脇の下に当てて

近くにあったファイルで風を送る。

しばらくそうしていると少し息が落ち着いてきた。

よかった……

あまりにも酷そうだったら救急車呼ぼうかと…

とりあえず保冷剤を変えたりしながら

近くにずっと座る。


なんでこいつはあんな暑い部屋でエアコンもつけずに寝てたんだ?

親は?

マロだけじゃなくてこいつもかなり痩せてるし。

ご飯がないのか?

そんなことを考えながら保冷剤を取り替えに冷蔵庫に行くと

その間に目を覚ましたみたいだった。

うつろな目で部屋を見渡している。

ついでに頭に乗っているタオルを変えながら

話しかけてみた。

リノ
リノ
…自分の名前、言える?


俺がそう聞くとかなり小さい声で

あなた
……あなたの下の名前
と言った。

こいつあなたの下の名前って名前なのか。

日本人なのかな。

リノ
リノ
日本人?
あなた
………うん


そうか、日本人なのか。

………こいつ

……怖くないのか

……だってここは……



なんでここにいるのか、こいつ……あなたの下の名前はわかってないようだ。

だから熱中症だったと伝えた。

あなた
……そっか


自覚していたのか、理解が早い。

色々こいつなりに抱えてるものがあるのだろうか。

リノ
リノ
今、食べれそうなやつ作るから待ってて


そう言って俺はキッチンに向かった。

そういえばあいつに水飲ませてないな。

透明なグラスに水を注いでひとつまみの塩を入れて

あなたの下の名前の前に置いた。

するとすぐにぐびぐびと飲み出した。

飲み干してからすごく幸せそうな顔をしてコップを置いた。

キッチンから遠目でその様子を見ながら

夏野菜のあっさりとしたパスタを作る。

これならあいつも食べられるだろう。

俺も昔フェス中に熱中症になったときに

あっさりしたものなら食べれたし。
リノ
リノ
フェス………か


1人で虚しくなりながら

あなたの下の名前にパスタを運んだ。

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