第24話

①【四十物十四 side】
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2025/04/15 01:40 更新
月は、自分にとってとても特別で、大好きな存在だ

だからこそ……美しい月にはいつも笑っていて欲しい
四十物十四
(はぁ〜〜〜〜っ緊張してきたっす)
今日は東都の方のライブハウスへと遠征している
そして、なんでこんなに緊張しているかと言うと……


今日のライブにあなたさんが来るからである
どうしてそんなことになったかと言うと……一週間前まで遡る
東都での遠征が決まって、二人に報告をと思い
いつも集まる空厳寺へと向かった
四十物十四
(二人共、きっと喜んでくれるっすよね!)
空厳寺に着くともう二人が縁側に座って雑談をしていた
四十物十四
空却さん!獄さん!お待たせしました!!
波羅夷空却
遅ぇぞ十四!!
天国獄
ったく、俺だって暇じゃねぇんだぞ?
……それで?用事ってなんだ?
四十物十四
えっとですね……実は、東都でのライブが決定したんです!!
自分がそう言うと二人は少し驚いた表情をしたが
すぐに笑顔を浮かべてくれた
波羅夷空却
へぇ……それは良かったじゃねぇか!!
天国獄
東都での遠征ライブか……アルゴξ楽団もデカくなったもんだな
四十物十四
えへへ……ありがとうございますっ!!
四十物十四
それでですね……これ!その日のチケットッス!!
そう言いながらポケットからチケットを取り出して二人に渡す
波羅夷空却
ほぉ……ん?これ、2枚ねぇか?
四十物十四
え……あれ!?ホントだ!!
空却さんに私はチケットが1枚引っ付いたようで2枚になっていた
はわわ……どうしよう!?
波羅夷空却
……なぁ、十四
東都の何処でライブするんだ?
四十物十四
え?……えっと、シンジュクのライブハウスですけど
自分がそう言うと空却さんはニヤリと笑った
波羅夷空却
なら、金は払うからこのチケット拙僧に寄越せや
四十物十四
??分かりました
そうして、空却さんにチケットを譲って、遂に遠征ライブの日になった
天国獄
現地に送ってやるからさっさと荷物を入れろ
四十物十四
獄さん、ありがとうございます!!
自分が荷物を入れている横で空却さんはスマホを弄っていた
天国獄
おら、空却もさっさと荷物入れろ
波羅夷空却
あー?……拙僧はこの身一つでいいわ
そう言いながら空却さんは車の中へと入っていってしまった
天国獄
……はぁ、本人がいいならいいか
ほら、十四もさっさと乗れ
四十物十四
はい!了解っす!
そうして、自分達は一路、東都のシンジュクディビジョンへと向かう

その道中で空却さんのスマホの着信音が鳴って、空却さんは画面を見ると嬉しそうな表情をした
波羅夷空却
……獄、十四をライブハウスに置いたらあなたを迎えに行くぞ
天国獄
……はぁ!?あなたを迎えに行く!?
自分もその言葉に驚いた
まさか……ずっとスマホを弄っていたのはあなたさんに連絡してたから!?
天国獄
おい!!アイツはまだ退院したばかりだぞ!?
何考えてやがんだ!!
波羅夷空却
あー?んなに過保護になる必要ねぇだろ
波羅夷空却
それにあなた自身が神宮寺に聞いて、行っていいって言われたみたいだぜ?
空却さんはそう言いながらスマホを自分に投げた
何とかキャッチして画面を見るとメールが開かれていた
あなた

「寂雷兄さんに聞いたら行ってきていいって言ってくれたよ
ライブハウスなんて行った事ないからすごく楽しみ!」
文面からとても楽しみにしてるのが分かって、自分も物凄く嬉しくなった
それと同時に、とてつもなく緊張し始めてしまった
天国獄
……寂雷のヤツ、何考えてるんだ?
獄さんは眉間にシワを作りながら吐き捨てるようにそう呟いた
四十物十四
(……獄さんにとってもあなたさんは本当に大事な存在なんだなぁ)
自分達の知らない獄さんを見ている気がして、何だかソワソワしてしまうような、何とも言えない気持ちが浮かび上がってくる
四十物十四
(……あなたさんを、もっと知りたいな)
病院で初めて見た時、あのエメラルドグリーンの瞳に見つめられて緊張したけど、次の瞬間に優しく微笑んでくれた……
四十物十四
(あの時の笑顔が……ずっと脳裏に焼き付いて離れない)
今回のライブ遠征に際して新しい衣装を作ったのだが
その衣装はあなたさんをイメージで作ったものになる
四十物十四
(あなたさんは空に浮かぶ優しい月みたいな人だ)
まさか、本人が来てその衣装を見せることになるなんて……思ってもみなかった
波羅夷空却
とりあえず、十四はライブハウスで気合い入れて準備してるんだな
四十物十四
は、はいっす!
そうして、ライブハウスへと着いて自分だけ降ろされて二人はあなたさんを迎えに行ってしまった
四十物十四
……はわわ、頑張らないと
………はわわわわ、緊張してきたっす!!
モブ1
十四、お前大丈夫か?
モブ2
いつも以上に緊張してね?
四十物十四
あ……う、うん大丈夫っすよ!!
メンバーの二人にも心配されちゃった……
でも、ここで逃げるわけにはいないッス!!
四十物十四
もうそろそろ時間っすね
二人共!!行くっすよ!!
モブ1
おう!!初遠征ライブ、気合い入れていくぜ!!
モブ2
東都に俺達の名前を刻もうぜ!!
そうして、メンバーの二人と共にステージへと向かう
ステージ袖から会場を見ると沢山のファンの子達に混じって一番後ろの方に獄さんと空却さん……そして、二人に挟まれるようにあなたさんが居た
四十物十四
(わぁ……本当に来てくれてる!!)
ファンの子達とは違うシンプルな服装だから少し浮いているように見える
けど、それがあなたさんにピッタリ似合っててとっても可愛らしかった
四十物十四
(……よーし、行くっすよ!!)
再び気合を入れているとステージの電気が消えて暗闇が訪れる
自分達はそれに合わせてステージへと上がった

そして、自分はマイクの前へ立った
四十物十四
我が前に立ちふさがる者達よ!
汝、よくぞ参った!我が魂に宿る歌を聞かんと欲すれば、共に興を高めようぞ!!
自分がそう言うとステージに明かりが当たり、ファンの子達の黄色い声援があがった
モブ1
きゃーーー!!!!!!!!!!!!
モブ2
十四くぅーーーーーん!!
そうして、演奏が開始した

チラリとあなたさんの方を見るとキラキラとした瞳が自分の事を見てくれていた
四十物十四
(あ……凄く綺麗な色だ)
本当に、心の底から綺麗だと思った

けれど、次の瞬間にその綺麗な色が濁ってしまった
四十物十四
(え……!?どうしたんだろ??)
そのままあなたさんは下の方を向いてしまった

獄さんがそれに気が付いて話しかけるが彼女は少し弱々しく頭を上げて、無理に笑顔を作っていた
四十物十四
(どうして……何があったんだ?)
歌を歌いながら頭の中ではグルグルと考える

自分の何かが彼女の何かを刺激してしまった?
それとも、本当はライブに来たくなかった?
四十物十四
(……だとしても、笑って欲しい)
あの、優しくって美しい笑顔を……自分は、見たいっす
そう思うと体が動いて、ステージから降りて彼女の元へと歩み寄る
四十物十四
麗しき乙女よ、この様に美しい月夜なのになぜその様な顔をしている
そう言いながら、自分はあなたさんの頬へ手を添えて優しく持ち上げた

自分と目が合うとあなたさんの瞳にはほんの少しだけ光が戻った
四十物十四
(あぁ……その光が失われる事は、自分は嫌だ)
四十物十四
心配することは無い、我が今宵……其方に喜びを与えようぞ!!
そう言いながらあなたさんの手を取ってステージ前まで連れて行く

その後ろから獄さんの声が聞こえた気がしたが…ごめんなさい、今はそれ所じゃないっす
四十物十四
此処で我の勇姿を観ていよ!!麗しき乙女よ!!
自分がしっかりと見える最前列の所にあなたさんを置いて、再びステージへと上がる
そして、再び歌い出すと会場は歓声に包まれた

チラリとあなたさんの方を見るとあの美しい瞳が見た事ないくらい輝いて、楽しそうに笑っていた
四十物十四
(─────凄く、素敵だ)
彼女が楽しんでくれてる、それが凄く嬉しくって……








そして、自分が彼女へどんな感情を持っているのか今、自覚した
四十物十四
(空却さんの言う通り……自分は、あなたさんの事が"好き"……なんだ)
恋愛的な意味で……彼女を一人の女性として見ている自分に少し驚いてしまうが、それと同時に彼女が本当に愛おしく思ってしまう
四十物十四
……っさぁ!!もっと我に其方達の声を聴かせるのだ!!
そう、ファンの子を煽ると再び黄色い声援が上がる

その中であなたさんだけが自分を優しい笑顔を浮かべながら見ていた
四十物十四
(あぁ、本当に貴女って人は─────)
どれだけの人をその笑顔で魅了してきたのだろうか?

…自分には、分からないけど
四十物十四
(誰にも……負けたくないっす!!)

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