月は、自分にとってとても特別で、大好きな存在だ
だからこそ……美しい月にはいつも笑っていて欲しい
今日は東都の方のライブハウスへと遠征している
そして、なんでこんなに緊張しているかと言うと……
今日のライブにあなたさんが来るからである
どうしてそんなことになったかと言うと……一週間前まで遡る
東都での遠征が決まって、二人に報告をと思い
いつも集まる空厳寺へと向かった
空厳寺に着くともう二人が縁側に座って雑談をしていた
自分がそう言うと二人は少し驚いた表情をしたが
すぐに笑顔を浮かべてくれた
そう言いながらポケットからチケットを取り出して二人に渡す
空却さんに私はチケットが1枚引っ付いたようで2枚になっていた
はわわ……どうしよう!?
自分がそう言うと空却さんはニヤリと笑った
そうして、空却さんにチケットを譲って、遂に遠征ライブの日になった
自分が荷物を入れている横で空却さんはスマホを弄っていた
そう言いながら空却さんは車の中へと入っていってしまった
そうして、自分達は一路、東都のシンジュクディビジョンへと向かう
その道中で空却さんのスマホの着信音が鳴って、空却さんは画面を見ると嬉しそうな表情をした
自分もその言葉に驚いた
まさか……ずっとスマホを弄っていたのはあなたさんに連絡してたから!?
空却さんはそう言いながらスマホを自分に投げた
何とかキャッチして画面を見るとメールが開かれていた
文面からとても楽しみにしてるのが分かって、自分も物凄く嬉しくなった
それと同時に、とてつもなく緊張し始めてしまった
獄さんは眉間にシワを作りながら吐き捨てるようにそう呟いた
自分達の知らない獄さんを見ている気がして、何だかソワソワしてしまうような、何とも言えない気持ちが浮かび上がってくる
病院で初めて見た時、あのエメラルドグリーンの瞳に見つめられて緊張したけど、次の瞬間に優しく微笑んでくれた……
今回のライブ遠征に際して新しい衣装を作ったのだが
その衣装はあなたさんをイメージで作ったものになる
まさか、本人が来てその衣装を見せることになるなんて……思ってもみなかった
そうして、ライブハウスへと着いて自分だけ降ろされて二人はあなたさんを迎えに行ってしまった
………はわわわわ、緊張してきたっす!!
メンバーの二人にも心配されちゃった……
でも、ここで逃げるわけにはいないッス!!
そうして、メンバーの二人と共にステージへと向かう
ステージ袖から会場を見ると沢山のファンの子達に混じって一番後ろの方に獄さんと空却さん……そして、二人に挟まれるようにあなたさんが居た
ファンの子達とは違うシンプルな服装だから少し浮いているように見える
けど、それがあなたさんにピッタリ似合っててとっても可愛らしかった
再び気合を入れているとステージの電気が消えて暗闇が訪れる
自分達はそれに合わせてステージへと上がった
そして、自分はマイクの前へ立った
自分がそう言うとステージに明かりが当たり、ファンの子達の黄色い声援があがった
そうして、演奏が開始した
チラリとあなたさんの方を見るとキラキラとした瞳が自分の事を見てくれていた
本当に、心の底から綺麗だと思った
けれど、次の瞬間にその綺麗な色が濁ってしまった
そのままあなたさんは下の方を向いてしまった
獄さんがそれに気が付いて話しかけるが彼女は少し弱々しく頭を上げて、無理に笑顔を作っていた
歌を歌いながら頭の中ではグルグルと考える
自分の何かが彼女の何かを刺激してしまった?
それとも、本当はライブに来たくなかった?
あの、優しくって美しい笑顔を……自分は、見たいっす
そう思うと体が動いて、ステージから降りて彼女の元へと歩み寄る
そう言いながら、自分はあなたさんの頬へ手を添えて優しく持ち上げた
自分と目が合うとあなたさんの瞳にはほんの少しだけ光が戻った
そう言いながらあなたさんの手を取ってステージ前まで連れて行く
その後ろから獄さんの声が聞こえた気がしたが…ごめんなさい、今はそれ所じゃないっす
自分がしっかりと見える最前列の所にあなたさんを置いて、再びステージへと上がる
そして、再び歌い出すと会場は歓声に包まれた
チラリとあなたさんの方を見るとあの美しい瞳が見た事ないくらい輝いて、楽しそうに笑っていた
彼女が楽しんでくれてる、それが凄く嬉しくって……
そして、自分が彼女へどんな感情を持っているのか今、自覚した
恋愛的な意味で……彼女を一人の女性として見ている自分に少し驚いてしまうが、それと同時に彼女が本当に愛おしく思ってしまう
そう、ファンの子を煽ると再び黄色い声援が上がる
その中であなたさんだけが自分を優しい笑顔を浮かべながら見ていた
どれだけの人をその笑顔で魅了してきたのだろうか?
…自分には、分からないけど











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!