第23話

十一話【月の様に艶やかで美しい君と沈む私の心】
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2025/04/02 03:12 更新
月は、いつ見ても美しいと思う
美しい月の化身は、きっとこの世の中に居ると…私はそう思ってる
そんな月の美しい夜、私はとあるライブハウスにいた
波羅夷空却
もうちょいで始まると思うからよ、待ってろや
あなた
うん、楽しみだなぁ
天国獄
ったくよ……なんでこうなるんだ
左には楽しそうに笑う空却君、右には呆れた様子の獄兄さんが私を挟むように立っていた
なぜ、この様なことになっているかと言うと……時は今日の朝まで遡る────
朝、寂雷兄さんと共に座禅を組んでいると
少し離れた私のスマホから通知音が聞こえてきた
神宮寺寂雷
……あなた、スマホが鳴っていますよ?
あなた
……本当だ、誰だろ?
座禅をやめて、スマホを取りに行くとディスプレイには空却君の名前が表示されていた
あなた
……空却君?
スマホのロック開いてメールの内容を見ると
波羅夷空却

「よぉ!!今日の夜空いてるか?
十四が東都の方でバンドのライブをするって言うからそっちに行くんだわ
おみゃの分のチケットもあるから一緒に行こうぜ!!」
あなた
……へぇ、バンドのライブかぁ
十四君ってあの眼の綺麗な子だよね
バンドやってるんだ……
あなた
………寂雷兄さん?少しいいですか?
それから寂雷兄さんにその事を話すと快く了承してくれた
神宮寺寂雷
ライブハウスは狭いですからね
体調が悪くなったらすぐに獄に言うんだよ?
あなた
うん、わかった
そうして、昼間は行く為の準備をして夕方頃に獄兄さんと空却君が迎えに来てくれた
天国獄
本当に大丈夫なのか?
かなり音がでけぇし、なんならバンギャのヤツらがすげぇぞ?
獄兄さんはそう言いながら目に不安を浮かべていた
……でも、後ろの空却君は気にしてなさそうなんだよな
波羅夷空却
過保護すぎるだろ獄……そこまで心配するか?
空却君のその言葉に獄兄さんは眉をピクリとも動かし、険しい表情を浮かべた
天国獄
あのなぁ……つい最近まで入院してたんだぞ?
体の丈夫なお前とはあなたは違ぇんだよ!!
あなた
まぁまぁ……大丈夫だから寂雷兄さんも許可してくれたんだし、ね?
神宮寺寂雷
そうだね…体調も安定してるし
それに、あなたの気分転換にもなるしね
天国獄
……少しでも体調に変化があったらすぐに帰るからな
……と、言った感じで今はライブが開催されるライブハウスにいる
あなた
(周りの人のお洋服凄いなぁ……フリルが沢山だ)
私達の周りにいるバンギャ?さんと言われるファンの子達の服がとっても可愛らしい
ふわふわのフリルが付いたお洋服に鎖や髑髏が付いている
あなた
(所謂地雷系?のお洋服だよね、可愛いなぁ)
一方の私の方は本当にシンプルなYシャツ風のワンピースに薄紫色のカーディガンを着ている
私自身がシンプルなのが好きってのもあるが……あんな感じのお洋服も着てみたいものだ
あなた
(……今度、一郎君にお願いしてお買い物に付き合ってもらおうかな?)
そう思っていると会場の電気が消えて、暗闇から声が聞こえてきた
??
我が前に立ちふさがる者達よ!
汝、よくぞ参った!我が魂に宿る歌を聞かんと欲すれば、共に興を高めようぞ!!
バっとステージに光が当てられるとそこにはまるで月の化身の様な綺麗な服を見に纏った十四君が居た
モブ1
きゃーーー!!!!!!!!!!!!
モブ2
十四くぅーーーーーん!!
十四君の登場で会場の熱は一気に上がり、周りは歓声を上げ始める
あなた
………凄い
波羅夷空却
おー……あれは新衣装か?見た事ねぇな
天国獄
みてぇだな……またキラキラしたヤツを着てるな
二人の会話からよく十四君のライブを見に来ているのを伺えた
あなた
(それくらい、空却君や獄兄さんにとって大事な存在になってるんだなぁ)
そう思いながら重低音や歓声が鳴り響く会場をどこが傍観する様に見る冷静な自分に少し……呆れてしまう
フッとステージに目を向けると十四君がこちらを見ているのに気がついた
そして……私と目が合った
その瞳は歓喜と嬉しさが溢れていて、凄くキラキラと輝いていた
あなた
(────あ、凄く心地良い色だ)
すると十四君はニコッと私に笑顔を向けてくれた
その笑顔もとても可愛く……人を惹きつける魅力的な笑顔だった
あなた
……いいな、羨ましい
その小さな声は重低音で二人には聞こえていないだろう

……それでいい、この薄暗い気持ちは私だけが知っていればいい
あなた
(……私って、こんなに………醜い人間だったっけ?)
私の知らない二人の事を、彼は……知っている
それを近くで見ている、感じでいる
あなた
(……うらやま、しい…なぁ)
あ…………ダメだ、今日はダメな日だったんだ
あなた
(心が──────沈んでいく)
暗い暗い─────深淵に似た暗い感情に、侵食されていく
そう思っていると、背中に手が置かれた

顔を上げると少し心配そうに獄兄さんが私を見ていた
天国獄
どうした?気分が悪くなってきたのか?
あなた
…………ひとや、にぃ……さん
ダメだ、獄兄さんに心配をかけさせる訳には行かない
どうにかして、沈んだ心を浮かべないと
そう思っているとステージの方から一際大きな歓声が上がった

顔をそちらに向けるとステージから十四君が降り、私達の方へと歩み寄ってきていた
四十物十四
麗しき乙女よ、この様に美しい月夜なのになぜその様な顔をしている
十四君はそう言いながら私の頬に手を添えて目線を合わせた
その瞳には心配と愛おしさが浮かんでいて
私は……その瞳に見惚れてしまった
四十物十四
心配することは無い、我が今宵……其方に喜びを与えようぞ!!
そうして、私の手を引いて十四君はステージへと向かう
後ろから獄兄さんの静止する声が聞こえたが止まることなくステージの前へと連れていかれる
四十物十四
此処で我の勇姿を観ていよ!!麗しき乙女よ!!
そう言って十四君はステージへと戻っていき、私はバンギャのお姉さん達に囲まれてしまった

でも……そのおかげで、顔を上げることが出来た
キラキラと輝くステージと月の化身の様な十四君は
本当に…………美しいと思えた
あなた
…………ふふっ、あははっ!!
その日、私は初めて声を上げて笑った
沈みかけていた心を、私は彼に救われたのだ
あなた
(あぁ────十四君……君はなんって優しい子なの?)
その優しい気持ちが、今の私を救ってくれたよ
あなた
(ありがとう……十四君)
その後は本当に楽しくライブを観る事が出来た

……たまには、こういう日があっても良いね

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