今日は乱数に幻太郎と呼び出しを受けた
この間見せてもらった写真の女だろうと、思うが…
あれは、まだ親父とおふくろが一緒に居た時
とある名家の子供と婚約を交わす時の話だ……
その当時は"婚約"なんてよく分からなかった
ただ、デカくなったらソイツと結婚するってことだけが分かっていて、半ば諦めの境地でその女子に会うことになった
そう言って会わされたのは儚げな雰囲気の俺と歳が変わらない女子だった
少し伏せた瞼から見える美しいエメラルドグリーンの瞳
あまり日に焼けてないのか白い肌に淡い色の髪色がまるで人形の様に思えた
俺がそう言うと美しい瞳が俺の方を見るとあなたは初めて微笑みを浮かべた
他の同い年とは違うどこか大人びた微笑みに
俺は…………心を奪われた
乱数が持っていた写真に写ったセーラー服を着た少女
…あれは恐らくあなただと、俺の勘が囁いた
そう思いながら幻太郎と共に乱数の事務所へと着いた
そう言いながら乱数の事務所の扉を開ける
中に入ると乱数は誰かの前に立っていて俺達が入ってきた事に気がつくとこちらを振り向いた
そう言いながらその人物の前から退くとそこには幸薄そうな女性……いや、今、確信した
そこに居たのは───────俺の想い人のあなただった
どうやら、あちらも気付いてるらしく
俺の方をジッとあの美しいエメラルドグリーンの瞳で見つめてきた
幻太郎がそう自己紹介をするとあなたの瞳が少しだけ輝いた
……そう言えば、あなたは本を読むのが好きだって言ってたっけか?懐かしいな
そう言いながらあなたはあの時から変わらない優しい微笑みを浮かべた
その微笑みに少し見惚れてしまったが、俺はやっと声を出した
とりあえず、確認をしたかった
本当に俺の知っているあなたなのかを……
すると、俺のその言葉にあなたは反応して
再び優しい微笑みを浮かべた
その言葉に俺は息を詰まらせた
……また、その声で俺の名前を呼んでくれることに胸がいっぱいになった
あまりにも嬉しすぎて俺はあなたの前に膝を着いて腰に手を回して抱きついた
あなたは嫌がる素振りもなく、俺の頭を優しく撫でてくれた
……この、優しい花の様な香りもあの頃から変わらない
俺の、好きな香りのままだ
そう思ってると背中の服を誰かが掴んだ
少しだけ振り向くとそこには少し怒った表情の乱数がいた
……なんだ、あなたのヤツ
俺との事を乱数には言ってないのか?
俺は乱数が掴んでいる服を振りほどいて、あなたの隣へと座り直した
その半年は俺にとって色鮮やかな半年となったのはきっと、あなたは思ってねぇんだろうな
らしくねぇ事も、その半年だけだがやっていた
そう言う乱数の表情はなんとも言えない表情をしていた
そんなあなたは少しだけ呆れた様な表情を浮かべた
……相変わらずコイツは自己肯定感が低い
まぁ、親にあれだけ抑圧されてたらそうなるか
すると、乱数はあからさまにホッとした表情を浮かべた
元々春鐘家のお嬢様で神宮寺寂雷の親戚
それでもって性格良し、器量良し、今はあれだが元々の運動能力もソコソコある、家事も出来るし……かなりの好物件だ
そうか……あなたは今は神宮寺寂雷の所で世話になってるのか
んでもって、もしそういう関係になれたとしてもあの神宮寺寂雷を何とかして説得しねぇとなんねぇのか
そんな事を考えているとあなたが俺の方を向いて微笑みを浮かべた
その微笑みはとても嬉しそうで、心の底から会えた事を喜んでいる様に見えた
……いや、こいつの事だからきっとそうなのだろう
"楽しい"?……あぁ、これからもっと楽しくなるぜ











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!