第25話

十二話【アイリスの花の様な貴方】
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2025/04/29 22:45 更新
ある日の昼下がり……私は家の近くの緑が沢山ある公園を散歩していた
あなた
んー…すごく気持ちいいなぁ
今日は少し日差しが強めなので日傘をさしながらではあるがとてもいい天気だ
あなた
……うん、今日は気分もいいしもう少し歩こうかな?
ゆっくりと公園を周っていると一つのベンチに一人の男性が項垂れるように座っていた
あなた
(あら?…どうしたんだろ?)
??
あかん、どなんしたらええんや……
なにか悩んでいるようで、困っている様に私には見えた
……ふむ、話しかけてみてお話だけでも聞いてみようかな?
あなた
…あの、大丈夫ですか?
??
え……?
私が声をかけるとその男性は顔を上げた
そのお顔は何処となく左馬刻さんに似ていたが髪色や瞳の色が違う

そうして少し見ていると男性は頬を赤らめて慌て始めた
??
あ……えーっと、その……
あなた
……ゆっくりで良いですよ、ゆっくり貴方の置かれている事情を話して下さい
私はそう言いながらその男性の前にしゃがんで目線を合わせた

その男性は不安と困惑、そして緊張をその瞳に宿していた
あなた
(ふむ…緊張しちゃってるのかな?)
そう思っていると男性は意を決したように私の方を向いた
躑躅森盧笙
自分はオオサカから来た躑躅森盧笙と言います
その……仲間とはぐれてしまって…困ってたんです
あなた
お仲間さんと?…スマホで連絡は?
私がそう言うとスマホを取りだして電源ボタンを押すが反応がない
躑躅森盧笙
この通り…電池が切れてしまって
財布も落としてしまったようで…
あなた
なるほど…充電器が必要なんですね
でも…生憎、私はスマホは持っているが充電器を持っていない
お財布にも飲み物を買う為の小銭しか入ってない…
あなた
…そうだ、躑躅森さん
躑躅森盧笙
はい…なんでしょうか?
あなた
もし宜しければ、お仲間さんのお名前を聞いても?
私のその申し出に躑躅森さんは驚いた表情をした
…なんとなくだけれども、そのお仲間さんが私の知り合いな気がするのだ
あなた
もしかしたら、躑躅森さんのお仲間さんが私の知り合いかもしれないです
オオサカに、私の兄的な人がいるので
私がそう言うと躑躅森さんは何かを考えるかのように少しだけ下を向くと何かを思い出したかのように再び顔を上げた
躑躅森盧笙
君…もしかして、簓の言っとった子か!?
…あぁ、やっぱり私の勘は当たっていたようだ
あなた
貴方が、簓さんが言っていた相方さんなんですね
なるほど……簓さんが好きそうな方だなぁ
あなた
初めまして、私の名前は春鐘あなたと申します
あなた
一先ず、私から簓さんに連絡してみますね
私がそう言うと躑躅森さんは「すみません」と言って安堵の表情を見せた
あなた
(……どことなく、左馬刻さんに似てるなぁ)
それとも、躑躅森さんが左馬刻さんに似ているのか…
まぁ、今はそれはいいか
スマホを開いてL○NEから簓さんに電話を掛けてみる

するとすぐに出てくれた
白膠木簓
《あなたちゃんか?どなんしたん??》
あなた
簓さん?今ってシンジュクに居ます?
白膠木簓
《え?…なんで知っとるの?》
あなた
…今、私の目の前に迷子の躑躅森さんがいるんです
白膠木簓
《え!?ほんまか!!変わってくれる!?》
あなた
えぇ…少し待ってくださいね?
自分の耳からスマホを離して、躑躅森さんの方へと差し出した
躑躅森さんも察したのかスマホを受け取って耳に当てる
躑躅森盧笙
簓か?すまんなぁ…なんでか分からんけどスマホの充電が切れてしもぉてな
躑躅森盧笙
…あぁ、公園におる……確か、シンジュク森林公園って書いとったわ
……おん、せや……あぁ、わかった……ほな、春鐘さんに返すで
そう言って躑躅森さんは私の方へとスマホを返してくれた
そして、私は再びスマホを耳に当てる
白膠木簓
《あなたちゃん、ホンマにありがとうなぁ!!おかげで盧笙が見つかったわぁ》
あなた
いえいえ、たまたま散歩をしていたら困っている様だったのでお声をかけただけですよ
白膠木簓
《…ほんま、君は優しいなぁ~そこがめっちゃ好きやで!!》
あなた
ふふっありがとうございます
それより、私もお隣で待ってますから迎えに来てあげて下さいね?
白膠木簓
《はいよ~!!今から行くから待っててや!!》
そう言うと通話は切れてしまった
私はポケットにスマホをしまうと躑躅森さんのお隣へと座り、日傘を中にいれた
躑躅森盧笙
え…は、春鐘さん!?
あなた
今日は、日差しが強いですから熱中症になってしまいますよ?
私がそう言うと躑躅森さんは「あぁ…確かに」と言いながら大人しく日傘の中への入ってくれた

…何だか、少しだけ緊張してしまうな
あなた
(初対面なのに少しだけ図々しいかっただろうか?)
お互いに話すことなく少しだけ気まずい雰囲気が流れ始めたかと思うと躑躅森さんが口を開いた
躑躅森盧笙
さ、簓から君の事を少しだけ聞いとるんや
あなた
簓さんから?…一体、どんなことを言ってるのやら
躑躅森盧笙
えーっと…可愛くって優しい子やって…耳にタコができる位聞かされとります
横目で躑躅森さんの方を見るとあいも変わらず顔は赤いが真っ直ぐな瞳が私を見ていた
躑躅森盧笙
その…助けてくれて、ありがとう…ございます
躑躅森盧笙
君がおらんかったら…簓達とも合流なんて出来ひんかったわ
…この人は、凄く真っ直ぐで優しい人なんだ

だからかな、この人を助けたいと思ったのは
あなた
……いえ、気にしないで下さい
あなた
私は、本当に困ってる人に声を掛けただけですから
私がそう言うと躑躅森さんは優しく微笑んだ
その表情は簓さんが私に向けてくれる笑顔と重なって見えた
あなた
(あぁ…簓さんの笑顔はこの人から移ったんだ)
そう思っていると遠くの方から聞きなれた声が聞こえた
白膠木簓
おぉーーい!!ろしょー!!大丈夫かー!?
??
いやはや…まさか盧笙がはぐれるなんて思わなかったぜ
躑躅森盧笙
あ…簓!!それに零も!!心配かけたなぁ
"零"…なんだが何処かで聞いた事がある気がする

そう思いながら声の方を向くと簓さんとサングラスを掛けて帽子を深めに被ったおじ様がいた
白膠木簓
あなたちゃん、ホンマに盧笙を保護してくれてありがとぉなー!!
あなた
いえいえ、無事に合流出来て良かったです
そう話しながら私はおじ様の方へと目線を向ける
…サングラスをしているせいであまり感情が読み取れない
そう思っていると簓さんがそれに気が付いたようでおじ様の隣へと移動した
白膠木簓
あなたちゃん、コイツは零って言ってな
どついたれ本舗のチームメンバーなんやで!
天谷奴零
どうも、初めましてお嬢さん
俺の名前は天谷奴零って言うもんだ、どうぞよろしくな
あなた
……天谷奴さん、ですね
初めまして、私は春鐘あなたと申します
天谷奴零
あなたちゃんか~…可愛い名前だな
「よろしくなぁ~」と言いながら天谷奴さんは笑顔を私に向けてくれた
…何故だろうか、その笑顔を私はどこかで見た事がある気がする
あなた
(…気のせい、かな?)
そう思っていると簓さんが「せや」と言いながら私の隣へと来た
白膠木簓
あなたちゃん、あなたちゃん
折角やからシンジュクの美味しいお店とか教えてくれへん?
そんでもって一緒に食べへんか?
あなた
美味しい所…ですか
スマホを取り出すとそれなりに時間が経っていて
私もそろそろ帰らないといけない時間になっていた
あなた
あー…折角のお誘いですが食事はまた今度…
もうそろそろ帰らないと
白膠木簓
そうかぁ……ほな、また今度やな
あなた
ごめんなさいね、簓さん
私がそう言うと簓さんは首を横に振った
白膠木簓
ええって!退院してまだそんなに日も経ってへんやろ?
もう少し落ち着いたら食べに行こうな!!
あなた
……えぇ、必ず
その時は躑躅森さんや天谷奴さんともお食事をしたいです
躑躅森盧笙
え…ええんか?それは是非とも!!
天谷奴零
おいちゃんもいいのか?嬉しいねぇ
躑躅森さんも天谷奴さんも嬉しそうに顔を緩めてくれた

……それまでに一二三さんに美味しいご飯の所を教えてもらわないと
あなた
それでは、私はこの辺で…失礼しますね
躑躅森盧笙
おん、ホンマにありがとぉな
白膠木簓
あなたちゃーん!!また今度なぁ〜!!
そうして、私はその公園を後にした

その帰り道に綺麗なアイリスが咲いている場所を見つけた
あなた
……何だか、躑躅森さんみたいなお花だな
ゆらゆらと風に揺れるアイリスは何処となくだが躑躅森さんに見えた
あなた
……素敵な人、だったな
また会う時に…お友達になってくれるかな?

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