ある日の昼下がり……私は家の近くの緑が沢山ある公園を散歩していた
今日は少し日差しが強めなので日傘をさしながらではあるがとてもいい天気だ
ゆっくりと公園を周っていると一つのベンチに一人の男性が項垂れるように座っていた
なにか悩んでいるようで、困っている様に私には見えた
……ふむ、話しかけてみてお話だけでも聞いてみようかな?
私が声をかけるとその男性は顔を上げた
そのお顔は何処となく左馬刻さんに似ていたが髪色や瞳の色が違う
そうして少し見ていると男性は頬を赤らめて慌て始めた
私はそう言いながらその男性の前にしゃがんで目線を合わせた
その男性は不安と困惑、そして緊張をその瞳に宿していた
そう思っていると男性は意を決したように私の方を向いた
私がそう言うとスマホを取りだして電源ボタンを押すが反応がない
でも…生憎、私はスマホは持っているが充電器を持っていない
お財布にも飲み物を買う為の小銭しか入ってない…
私のその申し出に躑躅森さんは驚いた表情をした
…なんとなくだけれども、そのお仲間さんが私の知り合いな気がするのだ
私がそう言うと躑躅森さんは何かを考えるかのように少しだけ下を向くと何かを思い出したかのように再び顔を上げた
…あぁ、やっぱり私の勘は当たっていたようだ
なるほど……簓さんが好きそうな方だなぁ
私がそう言うと躑躅森さんは「すみません」と言って安堵の表情を見せた
それとも、躑躅森さんが左馬刻さんに似ているのか…
まぁ、今はそれはいいか
スマホを開いてL○NEから簓さんに電話を掛けてみる
するとすぐに出てくれた
自分の耳からスマホを離して、躑躅森さんの方へと差し出した
躑躅森さんも察したのかスマホを受け取って耳に当てる
そう言って躑躅森さんは私の方へとスマホを返してくれた
そして、私は再びスマホを耳に当てる
そう言うと通話は切れてしまった
私はポケットにスマホをしまうと躑躅森さんのお隣へと座り、日傘を中にいれた
私がそう言うと躑躅森さんは「あぁ…確かに」と言いながら大人しく日傘の中への入ってくれた
…何だか、少しだけ緊張してしまうな
お互いに話すことなく少しだけ気まずい雰囲気が流れ始めたかと思うと躑躅森さんが口を開いた
横目で躑躅森さんの方を見るとあいも変わらず顔は赤いが真っ直ぐな瞳が私を見ていた
…この人は、凄く真っ直ぐで優しい人なんだ
だからかな、この人を助けたいと思ったのは
私がそう言うと躑躅森さんは優しく微笑んだ
その表情は簓さんが私に向けてくれる笑顔と重なって見えた
そう思っていると遠くの方から聞きなれた声が聞こえた
"零"…なんだが何処かで聞いた事がある気がする
そう思いながら声の方を向くと簓さんとサングラスを掛けて帽子を深めに被ったおじ様がいた
そう話しながら私はおじ様の方へと目線を向ける
…サングラスをしているせいであまり感情が読み取れない
そう思っていると簓さんがそれに気が付いたようでおじ様の隣へと移動した
「よろしくなぁ~」と言いながら天谷奴さんは笑顔を私に向けてくれた
…何故だろうか、その笑顔を私はどこかで見た事がある気がする
そう思っていると簓さんが「せや」と言いながら私の隣へと来た
スマホを取り出すとそれなりに時間が経っていて
私もそろそろ帰らないといけない時間になっていた
私がそう言うと簓さんは首を横に振った
躑躅森さんも天谷奴さんも嬉しそうに顔を緩めてくれた
……それまでに一二三さんに美味しいご飯の所を教えてもらわないと
そうして、私はその公園を後にした
その帰り道に綺麗なアイリスが咲いている場所を見つけた
ゆらゆらと風に揺れるアイリスは何処となくだが躑躅森さんに見えた
また会う時に…お友達になってくれるかな?













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。