第26話

①【躑躅森盧笙 side】
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2025/06/24 04:49 更新
学校が建校記念日で休みになったある日、簓からメールが届いた
白膠木簓

「ろしょー!今度、自分の学校が建校記念日で休みやって言ってたよな?
零も連れて東都に行かへんか?あなたちゃんに会わせたるわ!」
躑躅森盧笙
……そんなに会わせたいんかいな、春鐘さんって子に
簓がここまで言う子やから、前々から気にはなっていた
躑躅森盧笙
(あの写真の子やろ?…話してはみたいよな)
そういう事で建校記念日の日に簓、零と共に東都のシンジュク駅に到着した
白膠木簓
とーちゃーく!
いやぁ〜…相変わらず人が多いなぁここの駅は
天谷奴零
まっ、繁華街がある所は人の流れがあるからなぁ
…それで?どうやって会うんだ?そのお嬢ちゃんと
零のその言葉で俺はノーコンタクトと言うのが分かって頭を抱えてしまった
躑躅森盧笙
簓!お前……連絡取っとらんのかい!!
白膠木簓
いやぁー…ほら、サプライズ的な感じで会いたいやん?
躑躅森盧笙
アホ!そんなんで会えんかったらどなんすんねん!!
白膠木簓
いやいや!でも、あなたちゃん最近お散歩よくしとるって言っとったから!
公園とか周ってたら会えるって!!
この男は……呆れて言葉が出ないでいるともの凄い人の波が俺達を飲み込んだ
躑躅森盧笙
おわっ!?
白膠木簓
のわぁーー!?盧笙!?
躑躅森盧笙
なっ!?さ、簓!!零!?
そのまま俺は人の波に攫われて簓達とはぐれてしまった
躑躅森盧笙
あ……あかん、土地勘が無い所ではぐれるのはまずいっ
スマホを取りだして連絡を取ろうと思い取り出してスイッチを押すも画面は明るくならない
躑躅森盧笙
は!?どないなっとんねん!!
どうやらスマホの電池が切れているらしい
…近くにコンビニがあるから充電器を買うか

そう思い、財布を取り出そうとするとポケットに財布が無いことに気がついた
躑躅森盧笙
……嘘やろ、落としてもぉたんか!?
直ぐに周りを見るが財布が落ちている感じがしない
…まさか、さっきの人波に攫われてる際に落ちたんか!?
躑躅森盧笙
(嘘やろ……最悪やっ!!)
どなんするかと考えていると少し離れた場所に公園が見えた
躑躅森盧笙
……一先ず、分かりやすい公園に行くか
そこで落ち着いて考えるしかない
そう思い、俺は公園の中へと入ってベンチへと座った
公園は緑が沢山あり、親子連れやご老人達が穏やかに過ごしていた
躑躅森盧笙
(ホンマに、どなんしょ…誰かに声をかけて交番の場所を聞くか?)
それをするにしても話しかけなあかんよな
……出来るか?あがり症が出てまうのに
頭を抱えて悩んでいると足元に少し大きめの影が出来た
??
…あの、大丈夫ですか?
躑躅森盧笙
え……?
顔を上げるとそこには優しげな雰囲気を纏った綺麗な女性が立っていた
躑躅森盧笙
(……めっちゃ美人さんやな)
そう思うと同時に顔に熱が集まってしまった
あ……あかんっ緊張してきてしまった……!
躑躅森盧笙
あ……えーっと、その……
俺がそう言い淀んでいるとその女性は優しく微笑んで俺の前へとしゃがんで俺の目を真っ直ぐ見てきた
??
……ゆっくりで良いですよ、ゆっくり貴方の置かれている事情を話して下さい
その言葉に俺はさっきまでの緊張感がどこかへとスっと消えていくのを感じた
そして、自然と口から言葉が紡がれた
躑躅森盧笙
自分はオオサカから来た躑躅森盧笙と言います
その……仲間とはぐれてしまって…困ってたんです
俺がそう言うと女性は少し考えるような仕草をした
??
お仲間さんと?…スマホで連絡は?
俺はポケットからスマホを出して電源ボタンを押すが……相変わらず反応がない
躑躅森盧笙
この通り…電池が切れてしまって
財布も落としてしまったようで…
??
なるほど…充電器が必要なんですね
顎に指を添えた悩む姿はどこかの名画のようでとても美しく思ってしまった
躑躅森盧笙
(っ、何考えてんねん俺は……)
そうしていると何かを思いついたのか美しいエメラルドグリーンの瞳がこちらを向いた
??
…そうだ、躑躅森さん
躑躅森盧笙
はい…なんでしょうか?
女性は真っ直ぐとこちらを見ながら真剣な表情をした
??
もし宜しければ、お仲間さんのお名前を聞いても?
その言葉に驚いていると再び形の良い唇が動いた
??
もしかしたら、躑躅森さんのお仲間さんが私の知り合いかもしれないです
オオサカに、私の兄的な人がいるので
その言葉に俺はハッとした
まさか……この子が簓の言ってた子か!?
躑躅森盧笙
君…もしかして、簓の言っとった子か!?
俺がそう言うとニコッと優しい笑顔を再び向けてくれた
そうして、スっと立ち上がった彼女は一礼をした
??
貴方が、簓さんが言っていた相方さんなんですね
あなた
初めまして、私の名前は春鐘あなたと申します
一先ず、私から簓さんに連絡してみますね
そう言いながら春鐘さんは簓に電話をしてくれた

すると、直ぐに電話にでてくれたらしく話し始めた
あなた
簓さん?今ってシンジュクに居ます?
…今、私の目の前に迷子の躑躅森さんがいるんです
………えぇ…少し待ってくださいね?
そう言いながら春鐘さんはスマホを俺へと渡してくれた
躑躅森盧笙
簓か?すまんなぁ…なんでか分からんけどスマホの充電が切れてしもぉてな
白膠木簓
《盧笙!!何やってんねん!!めっちゃ心配したわ!!》
白膠木簓
《それで?今はどこにおんねん?》
躑躅森盧笙
…あぁ、公園におる……確か、シンジュク森林公園って書いとったわ
白膠木簓
《あー……駅近くの公園か?せやったら分かるわ》
躑躅森盧笙
……おん、せや
白膠木簓
《場所もわかったし、あなたちゃんにスマホ渡してや!》
躑躅森盧笙
……あぁ、わかった……ほな、春鐘さんに返すで
そうして、スマホを春鐘さんに返すと話しをし始めて
あなた
……いえいえ、たまたま散歩をしていたら困っている様だったのでお声をかけただけですよ
あなた
……ふふっありがとうございます
それより、私もお隣で待ってますから迎えに来てあげて下さいね?
そう言うと電話を切って俺の隣へと座ると日傘へと入れてくれた
躑躅森盧笙
え…は、春鐘さん!?
あなた
今日は、日差しが強いですから熱中症になってしまいますよ?
……確かに、今日は日差しも強く少しだけ暑いのは事実や
なら……お言葉に甘えて、日傘の中へと居らせてもらおうか
そうして、自分らの間には静寂が訪れた
周りは元気な子供達の声や遠くから小鳥のさえずりが聞こえる
躑躅森盧笙
(……えっと、どなんしたらええんや!?)
頭の中が軽くパニックになりつつ、気付かれないように横目で春鐘さんの方を覗くとほんの少しだけ頬が赤く色付いていた
暑さのせいなのか……彼女の瞳はほんの少しだけ不安で揺れている気がした

俺は、意を決して彼女の方を向いながら話し始めた
躑躅森盧笙
さ、簓から君の事を少しだけ聞いとるんや
あなた
簓さんから?…一体、どんなことを言ってるのやら
そう言う春鐘さんの表情はどこか呆れてる様な表情をしていた
躑躅森盧笙
えーっと…可愛くって優しい子やって…耳にタコができる位聞かされとります
躑躅森盧笙
その…助けてくれて、ありがとう…ございます
君がおらんかったら…簓達とも合流なんて出来ひんかったわ
俺がそう言うと春鐘さんは再びエメラルドグリーンの瞳を俺の方へと向けてくれた
そして……優しく微笑んだ
あなた
……いえ、気にしないで下さい
私は、本当に困ってる人に声を掛けただけですから
あぁ…………簓はきっと、彼女のこういう所に惚れたのだろう
優しく、まるで自分を包み込んでくれるような……そんな彼女に
そうしていると、遠くの方から簓の声が聞こえてきた
そちらの方を向くと簓が腕を振りながらこちらに向かっていて、その隣を零が歩いて来ていた
白膠木簓
おぉーーい!!ろしょー!!大丈夫かー!?
天谷奴零
いやはや…まさか盧笙がはぐれるなんて思わなかったぜ
躑躅森盧笙
あ…簓!!それに零も!!心配かけたなぁ
二人の姿を見て俺はホッとした
あまり知らない土地で一人とはホンマに心細い物やった
躑躅森盧笙
(まぁ……春鐘さんがおったからそこまでやったな)
そう思っていると簓は俺をすり抜けて春鐘さんの方へと向かった
白膠木簓
あなたちゃん、ホンマに盧笙を保護してくれてありがとぉなー!!
あなた
いえいえ、無事に合流出来て良かったです
簓がそう言うと春鐘さんは優しい笑みを浮かべた

だが、すぐにその笑みは消えて、零の方を見て不思議そうな表情をした
簓も気付いたのか零の方へと向いた
白膠木簓
あなたちゃん、コイツは零って言ってな
どついたれ本舗のチームメンバーなんやで!
天谷奴零
どうも、初めましてお嬢さん
俺の名前は天谷奴零って言うもんだ、どうぞよろしくな
あなた
……天谷奴さん、ですね
初めまして、私は春鐘あなたと申します
天谷奴零
あなたちゃんか~…可愛い名前だな
そう言う零の瞳はサングラスの奥で少しだけ細まっていた
分かりにくいが……どことなく、娘に向ける様な……慈愛が滲んでいた
躑躅森盧笙
(……どういう事や?)
どうしてやろうかと考えていると簓が「せや」と声を上げて、再び春鐘さんの近くへと行く
白膠木簓
あなたちゃん、あなたちゃん
折角やからシンジュクの美味しいお店とか教えてくれへん?
そんでもって一緒に食べへんか?
ニコニコと嬉しそうに言う簓はホンマに彼女の事が好きなんやって、伝わってきた

だが、彼女は「美味しいところですか……」と言いながらスマホを出して少しだけ困った表情を浮かべた
あなた
あー…折角のお誘いですが食事はまた今度…
もうそろそろ帰らないと
白膠木簓
そうかぁ……ほな、また今度やな
あなた
ごめんなさいね、簓さん
ホンマに申し訳なさそうな表情を浮かべる春鐘さん
きっと、麻天狼の神宮寺先生にあまり無理をしない様に言われているのやろう
躑躅森盧笙
(まぁ、まだ病み上がりやもんな)
すると簓は少し手をバタバタを動かした
白膠木簓
ええって!退院してまだそんなに日も経ってへんやろ?
もう少し落ち着いたら食べに行こうな!!
あなた
……えぇ、必ず
その時は躑躅森さんや天谷奴さんともお食事をしたいです
その申し出に俺は思わず声が出てしまった
零も同じく驚いた様で驚いた声を出した
躑躅森盧笙
え…ええんか?それは是非とも!!
天谷奴零
おいちゃんもいいのか?嬉しいねぇ
俺達がそう言うと嬉しそうな表情を浮かべてニコリと可愛らしい笑顔をした
あなた
それでは、私はこの辺で…失礼しますね
躑躅森盧笙
おん、ホンマにありがとぉな
白膠木簓
あなたちゃーん!!また今度なぁ〜!!
そうして、春鐘さんは軽く会釈をしながらその場を離れていった
すると、簓が大きなため息をつく
白膠木簓
あーあ、久しぶりに遊べると思ったのに……残念や
躑躅森盧笙
しゃーないやろ、春鐘さんも予定あるんやから
俺達がそう会話をしている中、零だけが春鐘さんの去っていった方をじっと見つめていた
躑躅森盧笙
……零、どなんしたんや?
俺がそう声をかけると零はゆっくりと俺たちの方を向いた
天谷奴零
んー?……いや、なんでもねーよ
天谷奴零
それよりか、この近くに美味い飯を出す店があるみたいだぜ?
白膠木簓
ホンマか!?ほならそこ行こか!!
そう言いながら二人は歩き始めた

でも、さっきの零は……どことなく、いつもとは違う気がした
躑躅森盧笙
(アイツ……まだ何か隠しとるんか?)
…………まぁ、今更やな
いつかきっと、そのことも話してくれるやろ
そう思いながら二人の後ろを着いていくと薄い紫色の花が花壇に咲いていた
躑躅森盧笙
(あ……春鐘さんみたいな花やな)
風でユラユラと揺れているその可憐な花はどことなく春鐘さんを彷彿とさせた

……彼女が、この花束を持てばきっと綺麗なんやろうな
アイリスの花言葉 
「希望」「信じる心」
「吉報」「メッセージ」「よい頼り」「知恵」

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