学校が建校記念日で休みになったある日、簓からメールが届いた
簓がここまで言う子やから、前々から気にはなっていた
そういう事で建校記念日の日に簓、零と共に東都のシンジュク駅に到着した
零のその言葉で俺はノーコンタクトと言うのが分かって頭を抱えてしまった
この男は……呆れて言葉が出ないでいるともの凄い人の波が俺達を飲み込んだ
そのまま俺は人の波に攫われて簓達とはぐれてしまった
スマホを取りだして連絡を取ろうと思い取り出してスイッチを押すも画面は明るくならない
どうやらスマホの電池が切れているらしい
…近くにコンビニがあるから充電器を買うか
そう思い、財布を取り出そうとするとポケットに財布が無いことに気がついた
直ぐに周りを見るが財布が落ちている感じがしない
…まさか、さっきの人波に攫われてる際に落ちたんか!?
どなんするかと考えていると少し離れた場所に公園が見えた
そこで落ち着いて考えるしかない
そう思い、俺は公園の中へと入ってベンチへと座った
公園は緑が沢山あり、親子連れやご老人達が穏やかに過ごしていた
それをするにしても話しかけなあかんよな
……出来るか?あがり症が出てまうのに
頭を抱えて悩んでいると足元に少し大きめの影が出来た
顔を上げるとそこには優しげな雰囲気を纏った綺麗な女性が立っていた
そう思うと同時に顔に熱が集まってしまった
あ……あかんっ緊張してきてしまった……!
俺がそう言い淀んでいるとその女性は優しく微笑んで俺の前へとしゃがんで俺の目を真っ直ぐ見てきた
その言葉に俺はさっきまでの緊張感がどこかへとスっと消えていくのを感じた
そして、自然と口から言葉が紡がれた
俺がそう言うと女性は少し考えるような仕草をした
俺はポケットからスマホを出して電源ボタンを押すが……相変わらず反応がない
顎に指を添えた悩む姿はどこかの名画のようでとても美しく思ってしまった
そうしていると何かを思いついたのか美しいエメラルドグリーンの瞳がこちらを向いた
女性は真っ直ぐとこちらを見ながら真剣な表情をした
その言葉に驚いていると再び形の良い唇が動いた
その言葉に俺はハッとした
まさか……この子が簓の言ってた子か!?
俺がそう言うとニコッと優しい笑顔を再び向けてくれた
そうして、スっと立ち上がった彼女は一礼をした
そう言いながら春鐘さんは簓に電話をしてくれた
すると、直ぐに電話にでてくれたらしく話し始めた
そう言いながら春鐘さんはスマホを俺へと渡してくれた
そうして、スマホを春鐘さんに返すと話しをし始めて
そう言うと電話を切って俺の隣へと座ると日傘へと入れてくれた
……確かに、今日は日差しも強く少しだけ暑いのは事実や
なら……お言葉に甘えて、日傘の中へと居らせてもらおうか
そうして、自分らの間には静寂が訪れた
周りは元気な子供達の声や遠くから小鳥のさえずりが聞こえる
頭の中が軽くパニックになりつつ、気付かれないように横目で春鐘さんの方を覗くとほんの少しだけ頬が赤く色付いていた
暑さのせいなのか……彼女の瞳はほんの少しだけ不安で揺れている気がした
俺は、意を決して彼女の方を向いながら話し始めた
そう言う春鐘さんの表情はどこか呆れてる様な表情をしていた
俺がそう言うと春鐘さんは再びエメラルドグリーンの瞳を俺の方へと向けてくれた
そして……優しく微笑んだ
あぁ…………簓はきっと、彼女のこういう所に惚れたのだろう
優しく、まるで自分を包み込んでくれるような……そんな彼女に
そうしていると、遠くの方から簓の声が聞こえてきた
そちらの方を向くと簓が腕を振りながらこちらに向かっていて、その隣を零が歩いて来ていた
二人の姿を見て俺はホッとした
あまり知らない土地で一人とはホンマに心細い物やった
そう思っていると簓は俺をすり抜けて春鐘さんの方へと向かった
簓がそう言うと春鐘さんは優しい笑みを浮かべた
だが、すぐにその笑みは消えて、零の方を見て不思議そうな表情をした
簓も気付いたのか零の方へと向いた
そう言う零の瞳はサングラスの奥で少しだけ細まっていた
分かりにくいが……どことなく、娘に向ける様な……慈愛が滲んでいた
どうしてやろうかと考えていると簓が「せや」と声を上げて、再び春鐘さんの近くへと行く
ニコニコと嬉しそうに言う簓はホンマに彼女の事が好きなんやって、伝わってきた
だが、彼女は「美味しいところですか……」と言いながらスマホを出して少しだけ困った表情を浮かべた
ホンマに申し訳なさそうな表情を浮かべる春鐘さん
きっと、麻天狼の神宮寺先生にあまり無理をしない様に言われているのやろう
すると簓は少し手をバタバタを動かした
その申し出に俺は思わず声が出てしまった
零も同じく驚いた様で驚いた声を出した
俺達がそう言うと嬉しそうな表情を浮かべてニコリと可愛らしい笑顔をした
そうして、春鐘さんは軽く会釈をしながらその場を離れていった
すると、簓が大きなため息をつく
俺達がそう会話をしている中、零だけが春鐘さんの去っていった方をじっと見つめていた
俺がそう声をかけると零はゆっくりと俺たちの方を向いた
そう言いながら二人は歩き始めた
でも、さっきの零は……どことなく、いつもとは違う気がした
…………まぁ、今更やな
いつかきっと、そのことも話してくれるやろ
そう思いながら二人の後ろを着いていくと薄い紫色の花が花壇に咲いていた
風でユラユラと揺れているその可憐な花はどことなく春鐘さんを彷彿とさせた
……彼女が、この花束を持てばきっと綺麗なんやろうな
アイリスの花言葉
「希望」「信じる心」
「吉報」「メッセージ」「よい頼り」「知恵」











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!