バンッ!!!!.....と荒々しい音を立ててドアを開けたのは、
間違いなくオレの相棒、青柳冬弥だった。
冬弥は、今まで見たこともないような苦渋に満ちた表情をしていた。
お前って......もしかして、オレのことか?
ああクソ、なんでオレは。
大切な相棒が苦しんでいる時に、何にもできないんだよ
まずいなコレ、過呼吸...だよな
落ち着け、冷静に考えろオレ....!!!何かできること、できることは......!!
ゴトッ
青白い光を発するそれは、冬弥のスマホだった。
っそうだ、杏たちのLINE!!!!!!
全力でスマホに飛びかかる。
冬弥は状況が状況で、オレを見る余裕なんてない。
急いでやらないと......!!!!
うまく画面が反応しない中、なんとかLINEのトーク画面を開いた。
オレ達4人の、グループLINEだ。
肉球と毛で覆われた前足では操作がおぼつかなく、全部ひらがなになっちまった。
でもそんなん今はどうでもいい、冬弥の命の方が大事だ。
既読はすぐに着き、返信が来た。
....多分コイツらの反応を見るに、こんなことは今までにも何回かあったんだろう。
(彰人なりの上目遣いを添えて)
....!!笑った...!!
だからソレ、やめろって....オレじゃなくても照れるから.....
ね、寝れない......???それってもしかしt
ガチャ!!!
オレが思っていたことは、ノックもせずに現れた2人にかき消された。
もとよりオレなんて、いなくても廻る世界なのだから。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。