第62話

何処かの組織の誰か
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2021/08/28 16:26
クロノスタシス
クロノスタシス
あなたさんが言う『お父さん』は貴方を買い取った人物ですね?
あなた
そう、です。
クロノスタシス
クロノスタシス
何度も住処を変え続けて、まともに学校も行っていなかった。最後に通ったのは折寺中学校で、あなたさんは現在満16歳。
あなた
クロノスタシス
クロノスタシス
ここまでで間違いはありやすか?
あなた
…ないと思います。


ここまで明らかになっているとは思っていなかった。

最後に通った中学校の名前まで分かっているなんて。

この短時間で私について調べ上げた情報量とその質に、改めて、" そういう組織 " であるのを感じた。

余裕を持っているようなクロノさんの口ぶりは、いつもよりも穏やかに聞こえる。


きっと、まだ私について洗い出した情報を持っているだろう。

なんて事は容易に想像出来た。





クロノスタシス
クロノスタシス
死穢八斎會ウチはあなたさんの『お父さん』の後ろに何かしらの組織がいると考えていやす。
あなた
クロノスタシス
クロノスタシス
現にその正体は掴めやした。


(『お父さん』の後ろにいる、何かしらの組織…)


確かに、『お父さん』はよく頭を何度も下げながら誰かと電話をしていた。

クロノさんが言っている可能性は限りなく高く、

ミミック
ミミック
因みに、俺達はもうその組織の名も調査済みだ。後は確たる証拠が欲しいだけ。
あなた


ミミックさんが言うように、

残るは裏を取る証拠だけだというのなら、それはもう事実に近いと思う。

ミミック
ミミック
ところで、お前はその組織の事は知ってたのか?
あなた
組織のこと?
ミミック
ミミック
自分の父親がどんな組織に肩入れしてるのか。
あなた
………組織の事は知らない。
多分、会ったこともないと思う。
全員



疑いの目が私に集中するのは自然なことだと思う。


ミミック
ミミック
嘘を吐いてもお前の為にはならねぇぞ。
あなた
嘘、ついてないよ。



本当に会ったことなんてない。


『お父さん』の電話の相手が何処の組織の誰かなんて、

そもそも組織なんかに所属している人なのかどうかなんて知る由もない。



何処かの組織の誰か。

…そんな気がする。


ただ、それだけ。


全員
あなた
全員
……
あなた
………
ミミック
ミミック
…あーあー、
あなた
?!



突然、気だるげそうな声をあげたミミックさんに私は直ぐに視線を当てた。


ミミック
ミミック
おい、チビ。
あなた
は、はい?



ミミックさんは顔だけこちらに向けると、

『ビシッ』

私の胴体に穴を空けるような勢いで人差し指を此方に指しながら言った。


ミミック
ミミック
最悪、死穢八斎會ウチの管轄下の店で働かせてやる。
あなた
店?
ミミック
ミミック
そうだ。

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