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第63話

震える心、内臓の動き、二酸化炭素の濃度
6,732
2021/08/30 18:32
ミミック
ミミック
最も、お前が自分自身を大切にしたいなら、この選択は選ばないことだな。
あなた
どんなお店かは気になるところだけど、よく知らない大人に身を預けるならそのお店の方が良さそう。
ミミック
ミミック
はぁ?
あなた
それにミミックさんが紹介してくれるなら、なんか安心だから。
音本 真
音本 真
この数日で凄まじい信頼を獲得したな、ミミック。
ミミック
ミミック
うるさいぞ、音本。
音本 真
音本 真
エリ嬢のお陰か?
ミミック
ミミック
おい、それ以上言うとお前でも容赦しね
音本 真
音本 真
オレンジジュース…(プククククッ)
ミミック
ミミック
おい!!!!!!
あなた



笑みを含んだかのような声で話す音本さんに対し、
ミミックさんはどうやら少し面白くないらしい。


私は黙ったまま、

小さな体で立ち上がったミミックさんが私にどんな反応をするのかを見ていた。


ミミック
ミミック
まぁ良い。お前のような能天気なヤツは久しぶりだ。こき使ってやる。
あなた
本当?!
ミミック
ミミック
おい!こき使われることに喜ぶな!!!調子狂うだろ!!!!(キョェェエエエ!)
音本 真
音本 真
クロノが甘いのは分かっていたが、ミミックやつも大概だよなぁ…
ミミック
ミミック
何だ音本、何か言ったか?(ギロッ)
音本 真
音本 真
いいや、なんでも。




ミミックさんは立ったままの私の近くへと移動するなり、

ボスッと音を立てて、ソファのその位置に腰掛けた。


(私、もし『お父さん』と今思い描いてる未来にならなくても、ミミックさんの近くに居られるんだ。)






『最悪、死穢八斎會ウチの管轄下の店で働かせてやる。』






たった数十秒前の、たった一文の言葉で、

私の心が軽くなった気がした。







良かった。







そう、心自身が震え、


内臓の微かな動きさえ感じる程に深く、



二酸化炭素の濃度を感じる程に穏やかな息を吐いた時だった。









クロノスタシス
クロノスタシス
盛り上がってるところ悪いですが、





クロノさんが放ったその言葉の矢は、



ピタリと話の流れを止めた。
















クロノスタシス
クロノスタシス
あなたさんの面倒はウチでは見やせん。




















───────え、?







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