第19話

竹太郎と恥ずかしがり屋のランプ 9
5
2024/10/18 12:59 更新
えええええ!?
店員
 لا. أنا لا أصدق ذلك،
竹太郎がアラビア語を話して、店員と会話しだしたではないか!!
竹太郎は、「あなたはアラジンと魔法のランプの伝説を信じていますか?」と言って、店員さんは「いいえ、信じてません」と言ったんだ。
鬼が僕の耳元でそう囁いた。
この人たち、一体何者だ。
僕は驚きを通り越し、ドン引きしていた。
日本昔ばなしのような世界観から、やっきたと言い出し、そして空飛ぶランプやら謎めいたものを出現させ、果てには多言語を操る。
この人たちは神?妖精?それとも未来からきたタイムトラベラー?まさか宇宙人?!いや、ハイパーAIロボットだとか?
様々な仮説が僕の頭を駆け巡っている間にも、竹太郎と店員の会話は続く。
竹太郎
فهمتها. من فضلك انسى الأمر الآن.(わかりました。今のことは忘れてください。)
竹太郎が何か言うたびに鬼が同時通訳してくれる。

本当に機械翻訳みたいな速さで。
竹太郎
نحن نحب البطاطس المالحة! !(僕たちは塩味のポテトが大好きなんです)
そういうと、竹太郎は僕たちが育てたオレンジ色のポテトをカウンターの上においた。
竹太郎
لذا يرجى صنع البطاطس المالحة باستخدام هذه البطاطس.(なので、このジャガイモで塩味のポテトを作ってください。)
店員さんは一瞬、じゃがいもを見て怪訝な顔をしたが、すぐ手に取って
店員
حصلت عليه.(かしこまりました)
と言い、竹太郎に日本のフードコートでよく見る、自分の番になるとブザーがなる機械を渡して、厨房に向かった。
竹太郎
よかったー!!交渉成功🎵
竹太郎と僕と鬼は、注文したものを待つスペースに向かった。

竹太郎は嘘のように日本語に戻っている。
みかん
ねぇ、2人っていったい何者なの?
僕は今までにない、真剣な顔で2人に言った。
竹太郎
え?さっきから何度もいってるじゃない!
僕は竹太郎。竹から生まれた人間さ!!
竹から生まれた次点で人間じゃないだろう、と心の中で突っ込む。
鬼もとなりで頷きながら、
僕も同じく。説明通りだ。
と言う。
みかん
じゃあなんでいきなりアラビア語を喋り出すの!?
僕は竹太郎と鬼の体にネジの穴やボタンがないか、目を走らせながら言った。
竹太郎
えぇ?!アラビア語??
相手に伝えたいっていう思いで話しただけだよ?
そうしたらなぜか普段と違う言葉が出てきて‥
       ビービー
その時、店員さんから渡されたブザー(?)がけたたましく鳴った。
竹太郎
おっ!出来たみたい🎵
行くぞ!
2人はいつものノリに戻って、受け取り口へと、スキップしていった。
……
全く、不思議で愉快な人たちだ。

僕も小走りで、2人についていった。
店員
هذا هو البند.(こちらがお品物です)
竹太郎
تبدو لذيذة! شكرًا لك! !(おいしそう!ありがとうございます!!)
流暢なアラビア語で竹太郎は答えると、出来立てのフライドポテトの乗ったプレートを受け取った。
びっくりした。

みかん色のじゃがいもは、この世にないようなフライドポテトになっていた。

揚げたての、まだ残ってている油がライトでキラキラ光って宝石みたいだ。

今にも僕の手が、ポテトをつまもうとしている。

これは絶対、絶対に魔神が喜んでくれると実感した。

僕はさっきまでのもやもやした気持ちが吹き飛んだ。
こっこれは、すごい!!
鬼も竹太郎も同じ気持ちみたいで、目を輝かせている。

竹太郎は絶対に食べないぞ、と心に誓うように唇をグッと引き締めると、
竹太郎
ここから出て、早く魔神に食べさせよう。
と真剣に言って、くるりと向きを変えて、出口へ向かった。
僕もついて行く。

あ。

何人もの人が、手にじゃがいもや、さつまいもや、よくわからない芋を持っている。
なんだ。僕らがやったことは普通のことだったんだ。
僕はそれを見て、一気に異質でおかしな世界から抜け出したような気がした。
これは、夢の世界じゃない。

僕は現実にいるんだ。素晴らしいリアルの世界に。

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