翌日の正午。
今、僕と竹太郎、鬼、そして竹太郎が持ち運ぶランプは、アラビアの大都会を歩いている。
竹太郎と鬼はこれまでにないくらいはしゃぎまくっている。
そして、道行く人みんなが僕たちに振り返っている。
普通驚かないものに騒ぎまくる和服の子供2人と謎の制服生徒。
僕らの国と全く違う文化を持つこの国の人々からしたら、どれだけ異様に見えるのだろうか。
僕たちを切り付けるような視線をむけてくる人もいる。
確かにすごい!
一番下から見るといかに高いかが、遠くから見るよりも何倍もわかる。
ここからだと見上げても一番上、どころか真ん中の階もよく見えない。
まさに天まで突き抜けるビルだ。
竹太郎なんて驚きすぎて言葉もでない。
確かに、あのじゃがいもは一見、オレンジのように見えるけど味は最高だ!
僕らは朝ごはんに蒸して食べた。
すっごくホクホクしてて、ほどよい甘みがあって、何も味付けしなくても十分すぎるほどおいしい。
毎日弁当にいれてくれたら、どれだけいつものランチが幸せになるだろう。
竹太郎なんて、魔神の分まで食べてしまいそうなほどだった。
竹太郎はいつもの明るさを取り戻してそういうと、ビルのなかに駆け込んで言った。
僕たちも竹太郎を追ってビルの中に飛び込む。
今、最高に楽しい。
僕たちはエレベーターに乗ってどんどん、階を上って行った。
目的の店は上の方の階にあるそうだ。
竹太郎と同感だ。
こんなに長い時間エレベーターに乗ったことはない。
そしてエレベーターのドアが開閉するごとに見える景色がおもしろい。
日本では見たことがない店だったり、ホテルだったり、美味しそうな食べ物が並ぶレストラン街だったり。
だからそんな時間も、全てが楽しい。
エレベーターの階が上るのに比例するように僕の心がワクワクする。
鬼が、魔神のお母様からもらった、道案内のメモを見ながら言った。
チリン
ゆっくりと開くドアの隙間から見えたのは、まさに僕が想像した通りの日本でもよく見るファーストフード店だ。
2人は目的地についた喜びと、とても現代的で派手な外装に驚いてはしゃいでいる。
僕は竹太郎の手を引いて店の中に入った。
自動ドアが開いた先に見えたのは、日本とは一見同じだ。
だが、よく見るとカウンターの上に設置されているモニターの様子が全然違う。
アラビア語で書かれていて、文字は読めないけど、なんだかピンク色っぽいハンバーガーとか、色がおかしいポテトとか、いちごのマークがたくさん出ている。
僕はジーニーのお母さんが「全ていちご味になってしまった」と言っていたことを思い出した。
本当だったんだ。
気づくと竹太郎と鬼は、ポテトを作ってもらうために、カウンターに続く列に並んでいた。
そして鬼がぼーっとしていた僕を手招きしている。
僕は早足で2人に駆け寄る。
竹太郎はうきうきるんるんだが、本当にそんなことはできるのだろうか?
日本の店舗でそんなサービスはしてないだろうけど‥‥
少々不安になってきた。
そして、竹太郎たちはアラビア語を話せるのか。
頭の中に黒いモヤが出入りしてきた。
そんなことで脳が埋め尽くされていて、周りの情報が遮断されていたら、もう順番がきたらしい。
竹太郎がカウンターの前に、活気盛んに進み出る。
案の定、竹太郎は日本語で話しかけた。
しかもとんでもないことを。そしてめっちゃくちゃでかい声で。
店員はぽっかーんとしている。
ざわざわざわざわと狭い店内が騒ぎ立つ。
これはやばい。
なんとかしないと。
僕があたふたしているのにも関わらず、竹太郎は余裕の笑みで店員を見つめている。
鬼もこの状況に何一つ動じていない。
逆にすごい。
とんでもない奴らだ。
後ろの人の目線が心に刺さる。
後ろの人がついに「早くさがれ!」と叫んできた。
どうしようどうしようどうしようどうしよう
人生で一番きつい場面かもしれない!!!!!!!
もういやだ!!
僕が限界を感じできたその時!
え。











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!