第22話

26???
502
2025/10/06 08:51 更新
 


???
???
ごめんな、兄ちゃんもうダメみたいや







???
???
ごめんな、...もうどうしようもない
もうあなたの下の名前と居られる身分にないんや。
 




あなた
.....









兄のガサガサとした表面の学生服が肌に擦れる。



当時から小さかった体には重すぎたランドセル。


着いたままの交通安全のワッペン。





???
???
...ごめんな、ごめんなぁ。もうあなたの下の名前を天涯孤独の身にしてもーて、兄ちゃん失格や。人間失格や。ごめんな。





肩元に落ちる熱い水が全てを物語る。




鼻をつく臭いも、その時は何故か感じなかった。




高温多湿の重苦しい夏。


あなた
.......






奥に覗いた足で悟った。

横で号泣しているのは今までと同じの兄ではない。






発狂して虎に変わったあの人とおなじ。





あなた
.........







決定的に「それ」が芽吹いたのはその時。














僕にとって唯一の大好きな人であった。















その兄が狂ったならば僕だって「狂っていいんだ」って。
 

目の前に見えていたはずの世界がぐるぐるとしていって、色を混ぜて混ぜて混ぜ込んで黒に変わっていく。




僕が彼の手を払って奥に入り込む。














???
???
あなたの下の名前っ、見たらアカンて!!!




慌てて目を塞ごうとするのを拒絶してしゃがみこむ。



自然にしていた。


それに驚く間もなく僕の中にあったはずの僕はその瞬間から消え去った。どこへともなく。







あなた
.......















あなた
兄ちゃん、










あなた
これ、何ゴミ?







そんな救われたような顔をしないでくれ。


僕だってやっと思えたことをいえてスッキリしてるんだ。






悪魔の翼がバキバキと音を立てて生え始める。



心地よい。





???
???
.........




あなた
これさ、どうせ燃えそうだし黄色いゴミ袋でええやん?火葬場、って言葉があるし。







???
???
..........






???
???
......なぁ、なんか......







あなた
この人確かここの警察所長と不倫しとったよな...あとは金積んで脅せばなんも捜査せず自殺ーってことにしてくれるんとちゃう?






あなた
アイツいつも見てると私利私欲の事でしか動かんみたいやし、奥さんも厳しいらしいしさぁ。不倫や今までの汚職借金パワハラバラすでーって言ったら揉み消してくれるやろ。あと口止め料の金積んどきゃ。






???
???
.........ッ






あの時のあの人の怯えた目と言ったら。




まるで化け物が人を食うのを見ているかのような、「信じられない、酷い」とでも言うような顔。






???
???
.....なぁ、なんかあなたの下の名前おかしいで。...普段そんなこと言わんやろ....熱でもあるん?





あなた
あは、兄ちゃんそんなこと言うて。僕はいつまでも僕やし、本音や。全部な。逆におかしいと思わんかったん?「あの子」があの環境で曲がらん訳ないやろ。






あなた
.....なぁ兄ちゃん、このゴミ取り敢えず解体して山にでも捨てようや。腐らせた肉とか殺した鹿の肉と一緒に混ぜてさ、捨てたらバレへんって、なぁ。







彼は膝から崩れ落ちて逃げ惑うように後ずさった。



なんでそんな事するの?





乖離していたハズの自己なんて消えていた。


???
???
....いや、いや....あなたの下の名前!!お前、正気になりぃ!!自分が何言っとるかわかってるんか....?!






あなた
....兄ちゃん、自分だけまともなフリせんでええんやで。まず、これを殺したのは兄ちゃんなんよ?なのにまるで僕が化け物みたいな言い方せんといてや。
彼は黙った。


言い返しようがないのだ。













足元に転がっているそれを蹴る。



血飛沫が舞って、その人は口を抑えて肩をガタガタと震えさせた。いつもの頼りがいのあるお兄ちゃんは消えて、ただただ目の前の光景に怯える子鹿に変わっていた。





もう動くわけのないそれは見事に汚い。







早くしないと腐っちゃう、僕たちごと。







???
???
........解体、って...







あなた
床にシミできる前にさっさとやっちゃえばバレんて。まずこれを部品ごとに解体してさ、スーツケースとかに入れて山に持っていく。見切り品の肉とか買ってきて腐らせて、あとは鹿見つけたら適当に殺して一緒に埋める?






???
???
掘られたらヤバいやん..







あなた
じゃ燃やす?






手が震えている。


自分からしたことなのに信じられないなんて、催眠にでもかかっていたの?




あなた
大丈夫だよ兄ちゃん
きっと上手くいく




心の底から溢れる笑顔を向けるも、彼の顔には汗がつたう。


???
???
......ほんまにやるん?





あなた
やるしかない





だからそんなに化け物を見たみたいな顔しないでよ。

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