鉄山の中。
瓦礫の隙間で、ローは息を荒げていた。
ロー「……くそ……」
額から血が流れ、腕も擦りむけている。
さっきまでの殺気は、どこか虚勢のようにも見えた。
ガサッ……
ロー「……?」
あなた「だいじょうぶ?」
ロー「……何だよ」
あなたは瓦礫をよじ登り、そっとしゃがみ込む。
あなた「結構、血出ちゃってるね」
ロー「放っとけ」
あなた「放っとけないよ」
ロー「……なんなんだよ」
あなたはポケットから小さな布と薬瓶を取り出した。
あなた「内緒で、ちょっとだけ持ってきたの」
ロー「……は?」
あなた「じっとしててね消毒するから!」
ロー「触るな」
あなた「動くともっと痛いよ」
ローが睨みつける。
けれどあなたは怯まない。
あなた「痛いの、嫌でしょ?」
その一言に、ローの眉がわずかに動く。
あなたは静かに傷を拭いた。
ロー「……っ」
あなた「ごめん!でももう終わるからね!」
ロー「……なんでそんな普通に接するんだ」
あなた「?」
ロー「俺、殺すって言っただろ」
あなた「聞いた」
ロー「頭おかしいって笑われたのに」
あなた「うん」
あなたは包帯を巻きながら、少しだけ笑う。
あなた「でも、痛いのは嫌なんでしょ?」
ロー「……」
あなたは自分が初めてジェルマに来た時のことを思い出した
“レイジュ「あなたの名前は?」"
"レイジュ「あなた、可愛い名前ね」"
あなた「君名前は?」
ロー「…ローだ」
あなた「ローくん素敵な名前だね」
あなた「私はクレール・あなたよろしくね!」
ローの目が一瞬だけ鋭くなる。
ロー「……知ってる」
あなた「え?」
ロー「クレールってことは神手のリュシアンの娘だろ」
あなたは少し驚いた顔をするが、すぐに微笑む。
あなた「うん。でも今はファミリーの一員だよ!」
ロー「……ふん」
あなた「あ!クレールって事はドフィ達には内緒ね!まだ言えてないんだ…」
ロー「俺は別に構わねえが」
ロー「お前歳は?」
あなた「6だよ!」
ロー「俺より下か」
あなた「ローは何歳なの?」
ロー「俺は10だ」
ロー「どうせ俺はあと3年で死ぬ優しくしても何も残らないぞ」
あなた「私がこうしたいからしてるの!ローは大人しく手当されてて」
あなた「はい!でーきた!」
あなたは立ち上がり、手を差し出す。
あなた「改めて!よろしくね!ロー!」
ローはしばらくその手を見つめる。
血だらけの自分の手と、
迷いなく差し出されるその手。
ロー「……変なやつ」
あなた「よく言われるよ」
ローは小さく舌打ちしながらも、
その手を——ほんの一瞬だけ掴んだ。
ロー「別に仲良くする気はねぇ」
あなた「うん、いいよ」
ロー「?」
あなた「無理に仲良くしなくていい」
あなたはにこっと笑う。
あなた「でも、怪我したらまた手当てする」
ロー「……」
あなた「それだけ」
その笑顔に、ローは何も言えなくなる。
遠くからトレーボルの声が響いた。
トレーボル「おーいガキども〜!」
あなた「戻ろっか!」
ロー「……勝手にしろ」
あなたが先に歩き出す。
ローは少しだけ、彼女の背中を見る。
ロー(……なんなんだ、あいつ)
怒りも、絶望も、憎しみも——
その笑顔は、何一つ揺らがせなかった。
ローは拳を握る。
ロー(……どうせ三年で死ぬ)
それなのに。
ほんの少しだけ。
ほんの少しだけ、胸の奥が静まっていた











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。