第10話

8
258
2019/04/23 12:44
重ための朝食を取った後(のち)、彼は用を足しに駅へと去っていった。
貴方
ん〜さてと、観光でもするかな!
予想もしない出来事が起こりいっぱいいっぱいになってしまっていた私だが、
浅草、下北沢やお台場、谷中銀座…と足を運んでみたいと考えているところは沢山あった。

のんびり見て回り夜を待つことにしようか。
貴方
あっ…多摩川…
ここで昨日お酒の席で彼、シルクロードと話した内容を思い出す。
シルクロード
俺、ある漫画家が凄く好きなんだ。知らなかったら是非読んでみて欲しいんだけど。
貴方
へぇ、どんな話を描く人なんですか?
シルクロード
一番有名なもので東京を舞台にした作品があるんだ。多摩川辺りなんだけどさ、内容はまあ後で読んでもらうとして…多摩川そのものも凄く良いところだから行ってみると良いよ!
貴方
川か〜暇だったら行きますね!
シルクロード
後回しかい!
じゃがいもには毒の部分があるのは知ってる?
貴方
あぁ…料理の時に取って捨ててしまう部分ですかね?
シルクロード
そうそう、ちゃんと名前が付いているんだけどさ。それがその漫画のタイトルなのね。
貴方
随分と詳しいですね
シルクロード
でしょ!花言葉とかちょいちょい調べるようになっちゃったからな!
貴方
あははっ乙女ですね〜!
シルクロード
うるせいっ!
……
貴方
多摩川行くか…
なんて単純なんだろう。
私は東京メトロに乗り多摩川へ向かった。
彼の好きなものや彼自身のことを少しでも多く知りたいと、そう思った。
ご飯をぺろりと平らげたせいか少しウトウトしてしまって、いつもは鬱陶しい筈の電車の揺れが、今日はなんだか穏やかで心地良く感じた。

プリ小説オーディオドラマ