第2話

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2025/02/03 10:44 更新
目が覚めた場所は病院だった。闇医者ではなく普通の医者が経営する普通の病院。
どうやら二日間眠っていたようだ。
「あっ、香坂さん!」

そう言って医者らしき男が声をかけてきた。

「患者さん、目覚めました!!」
「ほんと!?!?」
「あぁ、香坂さん…本当に良かった……」
そう言って医者以外の男二人が香坂に声をかけてきた。
一人は黒い髪に白のメッシュが入った男。
もう一人はセンター分けに特徴的な目の色をした男。
香坂はこの二人が思い出せないでいた。一切。
香坂からしてみれば、知らない男二人が親しそうに自分に声をかけてきているのだ。当然驚いた。
目を見開き固まっているのを疑問に思ったらしい黒髪の男が疑問を投げかけた。
「香坂さん?」
「え?香坂兄ちゃん?」

それに反応するように青い髪の男も自分の名前を兄ちゃん付けで呼んできた。
全く思い出せない。親しかった記憶も無ければなにかしたりされたりした記憶もない。
「あの、失礼ですが貴方達は誰でしょうか?」
「…?」
「香坂兄ちゃん覚えてないの?それとも遊び?」
「いえ…全く分かりません、誰ですか?」
今度は二人が目を見開いて固まった。そんなに親しい仲だったのか。傷つけてしまった?
「ウソ、だよね……」
「香坂さん、本当に覚えていないのですか!?」
「質問を重ねますが「香坂さん」というのは誰のことでしょうか?」
「そんな…香坂、兄ちゃんが……」
その後二人が自己紹介し自分が何者かを説明された。
まとめると、こうだった。
・黒髪の男は「辰巳春希」、青髪の男は「タンタン」と言い、「香坂さん」は自分の名前。正式な名前は香坂慎太郎。

・どうやら自分は自分で作った超武闘派の麻薬組織「裏神」のトップであり、辰巳とタンタンは自分の腹心だという。

・他にも幹部はいるらしく、敵対組織はメキシコにある「マッドカルテル」という名前の組織らしい。
「…他にも言いたいことはありますが、大体こんな感じです」
「香坂兄ちゃん、本当に覚えてないの……?」
「すみません、全く記憶にないですね」
「…また、来るね……」
この時のタンタンの顔はどこか懐かしさを感じた。
まるで泣いている子供をまた立ち上がらせるような。
「……とりあえず、今はごゆっくり休んでて下さい、明日また来ます」
「じゃあね、香坂兄ちゃん」
「ええ、ありがとうございます」
**
先程見ていた夢だけは何故か鮮明に思い出すことが出来る。気味が悪いと暴言を吐いてきた知性が低い彼女、欲にまみれ自分を地下牢に閉じ込めた彼女、差別され独立を許さない、人を駒と思っている彼ら。
当分入院生活なので、生活には困らないがこれからどうするべきなのか。

明日、あの二人はまた来ると言っていた。その時に自分の家の場所やその裏神?という組織のことを根掘り葉掘り聞こう。
そう思うことにし、香坂は再び眠りについた。
今度は、あんな悪夢を見ませんように、と。

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