華菜side
そう言われて連れてこられたのは、学校の3階の渡り廊下だった。
そう言って、少し子供っぽく笑う篠原君に私はドキドキしてしまう。
ドギマギとする私にも優しく接してくれる篠原君。
本当に、優しいなぁ・・・
篠原君は、とても嬉しそうに笑う。
自嘲気味に笑う篠原君は、見ているのも痛々しくて。
すぐにでも否定したくなって、大声が出てしまう。
そんなことないよ、、、
むしろ、逃げてただけのただの弱虫、、、
篠原君の優しい声で紡がれる言葉に、聞き入ってしまう。
私ごときが口を出せることじゃない気がして、相槌さえも打てなかった。
篠原君の心の中での葛藤が少しだけわかる気がして、頷いた。
私も『高校デビュー』、しようと思ったから。
『高校で変わろうと思った』
私たちの悩みの共通点はそれだけだけど、共感してもいいかな?
私は自問する。
答えは返ってこない。返ってくるはずない。
口に出してないんだもん。
やっぱり逃げちゃうんだ。
私の中で出せる結論はそれだけ。
でも、君が悩んでるなら、私だって一緒に悩みたいって思ったから。
私にも、変わるきっかけをください。
君の言葉に救われておいて、また君をきっかけに変わろうなんて図々しいかもしれない。
けど、その借りは私が君を支えることで返すから。
だから、許してほしい。
私の隣にいて、、、
篠原君は、しばらく俯いていたけれど、やがて顔を上げた。
嫌いになんてなるわけないよ。
むしろ好き。
大好き。
口を開けば自分の思いが溢れてしまいそうで、下唇を強く嚙む。
何を・・・?
緊張をほぐすように深呼吸をした篠原君は、私に強い光の宿った眼差しを向けた。
思わぬ告白に、私の頭は一瞬フリーズする。
好き・・・?
私のことを・・・?
突然のことすぎて理解が追い付かない。
やっと言葉の意味を理解した時、私の心は喜びに沸いた。
人生で、こんなに嬉しかったことってあっただろうか。
篠原君の目が大きく見開かれていくのが分かる。
「本当に?」と、目が問いかけている。
笑いながらも、ちょっと困ったように言う篠原君の頬は赤く染まっていた。
案外可愛い人なのかな、と思っていた私が馬鹿だった。
篠原君は、私に向かって余裕たっぷりに言う。
私が返事をする前に、篠原君に抱き寄せられたかと思ったら、唇に柔らかい感触がして、チュッと軽いリップ音がした。
篠原君の唇は恋の甘さと少しの苦しさを残して去っていく。
それがキスだと気づいたのは、その数秒経った後だった。
理解したとたん、顔が赤くなっていくのが分かる。
全身の血が顔に集まったんじゃないかっていうくらい・・・
苦しいけど、切ないけど、それを超えるくらい甘くて癖になる口付け。
もっとして欲しかった、なんて思ってしまったのは私だけの秘密。
私は一生、この王子様に敵いそうもないです・・・
いや、実は狼さんだったり・・・?
その答えは、自分で確かめようと静かに誓った私なのでした。
☆イメージチェンジ、END★
↓↓この後のチャプターにある番外編もぜひ!!














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。