第8話

王子様か、狼か
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2021/07/12 09:15 更新
華菜side


篠原悠太
篠原悠太
2人で抜けない?



そう言われて連れてこられたのは、学校の3階の渡り廊下だった。
篠原悠太
篠原悠太
ここ、先生来ないんだよね。
俺のお気に入りの場所。
そう言って、少し子供っぽく笑う篠原君に私はドキドキしてしまう。
沢田華菜
沢田華菜
そうなの、?
篠原悠太
篠原悠太
うん。
ドギマギとする私にも優しく接してくれる篠原君。


本当に、優しいなぁ・・・
篠原悠太
篠原悠太
ところで、さっきはありがとう。
篠原君は、とても嬉しそうに笑う。
沢田華菜
沢田華菜
大したことないよ・・・!
篠原悠太
篠原悠太
あの写真ね、俺なのは事実だよ。
引いた?
自嘲気味に笑う篠原君は、見ているのも痛々しくて。
沢田華菜
沢田華菜
ううん!
そんなことないよ!!
すぐにでも否定したくなって、大声が出てしまう。
篠原悠太
篠原悠太
ありがとう。
沢田さんは優しいね。
そんなことないよ、、、


むしろ、逃げてただけのただの弱虫、、、
沢田華菜
沢田華菜
ううん、、、
篠原悠太
篠原悠太
俺、中学の時、不良だったんだよね。
まぁ、そこまで問題児でもなかったんだけど・・・
篠原悠太
篠原悠太
あの時過ごした時間を俺は後悔してないよ。
とっても楽しかったから。
篠原君の優しい声で紡がれる言葉に、聞き入ってしまう。


私ごときが口を出せることじゃない気がして、相槌さえも打てなかった。
篠原悠太
篠原悠太
でも、社会的に見れば恥ずかしいことなんだって分かってる。
だから、高校では変わろうって思ったんだ。
沢田華菜
沢田華菜
う、うん・・・!
篠原君の心の中での葛藤が少しだけわかる気がして、頷いた。


私も『高校デビュー』、しようと思ったから。






『高校で変わろうと思った』

私たちの悩みの共通点はそれだけだけど、共感してもいいかな?



私は自問する。
答えは返ってこない。返ってくるはずない。
口に出してないんだもん。


やっぱり逃げちゃうんだ。

私の中で出せる結論はそれだけ。




でも、君が悩んでるなら、私だって一緒に悩みたいって思ったから。









私にも、変わるきっかけをください。


君の言葉に救われておいて、また君をきっかけに変わろうなんて図々しいかもしれない。



けど、その借りは私が君を支えることで返すから。

だから、許してほしい。






私の隣にいて、、、












篠原君は、しばらく俯いていたけれど、やがて顔を上げた。
篠原悠太
篠原悠太
俺のこと嫌いになった、、?
沢田華菜
沢田華菜
え、、、っ?
嫌いになんてなるわけないよ。

むしろ好き。
大好き。



口を開けば自分の思いが溢れてしまいそうで、下唇を強く嚙む。
篠原悠太
篠原悠太
ごめん、聞き方がずるかったね。
ハッキリ言うから。
何を・・・?





緊張をほぐすように深呼吸をした篠原君は、私に強い光の宿った眼差しを向けた。




篠原悠太
篠原悠太
沢田華菜さん。
俺は、沢田さんのことが好きです、っ!
沢田華菜
沢田華菜
ぇ、、っ
思わぬ告白に、私の頭は一瞬フリーズする。



好き・・・?
私のことを・・・?
篠原悠太
篠原悠太
突然だし、俺たちあんまり接点もないから、いきなり付き合うのは難しいって分かってる。
けど、沢田さんには俺の気持ち、知っててほしかったから。
突然のことすぎて理解が追い付かない。



やっと言葉の意味を理解した時、私の心は喜びに沸いた。

人生で、こんなに嬉しかったことってあっただろうか。
沢田華菜
沢田華菜
私も好きです!
大好きです!
篠原君の目が大きく見開かれていくのが分かる。


「本当に?」と、目が問いかけている。
沢田華菜
沢田華菜
本当だよ。
篠原君、私と付き合ってください!
篠原悠太
篠原悠太
え、、、?
頭が追い付かないんだけど・・・
沢田華菜
沢田華菜
えへへっ
篠原悠太
篠原悠太
もちろん。
沢田さんと付き合いたいよ。
篠原悠太
篠原悠太
女の子から付き合ってって言われちゃったなぁ、、、
俺が言いたかったのに。
笑いながらも、ちょっと困ったように言う篠原君の頬は赤く染まっていた。





案外可愛い人なのかな、と思っていた私が馬鹿だった。

篠原君は、私に向かって余裕たっぷりに言う。
篠原悠太
篠原悠太
とにかく、一件落着だね。
じゃあさ、、、
篠原悠太
篠原悠太
もう俺の彼女なんだから、、、
みんなに優しくしないで。

俺だけに独占させて?
沢田華菜
沢田華菜
へ、、、?
私が返事をする前に、篠原君に抱き寄せられたかと思ったら、唇に柔らかい感触がして、チュッと軽いリップ音がした。

篠原君の唇は恋の甘さと少しの苦しさを残して去っていく。


沢田華菜
沢田華菜
んん、、、っ
それがキスだと気づいたのは、その数秒経った後だった。


理解したとたん、顔が赤くなっていくのが分かる。
全身の血が顔に集まったんじゃないかっていうくらい・・・



苦しいけど、切ないけど、それを超えるくらい甘くて癖になる口付け。

もっとして欲しかった、なんて思ってしまったのは私だけの秘密。
篠原悠太
篠原悠太
可愛い、顔真っ赤♡
そっか、両思いだったなんてね。
後で理由、聞かせてね。
沢田華菜
沢田華菜
はい、、、
私は一生、この王子様に敵いそうもないです・・・

いや、実は狼さんだったり・・・?



その答えは、自分で確かめようと静かに誓った私なのでした。







☆イメージチェンジ、END★








↓↓この後のチャプターにある番外編もぜひ!!

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